Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイリー

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アフリカ+フランス+日本?音楽の対話

2011年11月01日

 フランスを拠点に活動する仲野麻紀は、ヤン・ピタールとのデュオKyで9月から日本をツアー中。10月下旬からはアフリカ人ミュージシャンが加わって、2009年に始動したユニットBala Deeで各地を巡演中だ。今夜は六本木スーパーデラックスに初出演。当初予定されていたカマレンゴニ奏者のバシール・サノゴの来日が不可能になったのは残念だったが、その分を補って余りあったのがブルキナファソのバラフォン奏者ムッサ・ヘマ。超絶的なプレイはまさに衝撃的だった。ヘマの歌唱指導により、ラストは観客が総立ちで合唱し、会場は熱気に溢れた。
●仲野麻紀(as)、ヤン・ピタール(g,oud)、ムッサ・ヘマ(balafon)、ガストン・ジーコ(ds)、ナスノミツル(b)

2012年11月02日  四つの手とひとつの口のための音楽

2011年11月02日

 フランス在住で毎年帰国ツアーを行っている仲野麻紀(as,metal-cl,vo)が、新作『四つの手とひとつの口のための音楽』のレコーディング・メンバーであるステファン・ツァピス(p)とのデュオで初来日。ツアーの中盤にあたるライヴが、拙宅至近の根津教会で開催された。これまでに観た仲野のステージは常にヤン・ピタール(oud)との共演だったので、ピアノとのデュオは新鮮。また彼女の伝統を踏まえたジャズ・ミュージシャンとしての側面が浮き彫りになったのが収穫だった。途中でピタールも加わり、下町の教会が非日常的な音楽空間へと変貌。そこで偶然お会いした夢枕獏ご夫妻と、終演後に近くのジャズ・ダイニング・バーでご一緒。ジャズとプロレスの話題で談笑した。

新宿のブラジリアン・ナイト

2011年11月04日

国府弘子4tet@ピットイン。「スタンダード・セッション Vol.1 ブラジリアン・ナイト」と題したコンセプト・ライヴは、国府と村田陽一との間で生まれたアイデアだという。国府の音楽性の柱はブラジル音楽であり、村田はイヴァン・リンスとの共演作を制作したほどのエキスパートだ。同店に国府が出演するのは久々だと思うが、会場がどこであれヒロコ節は全開。ミルトン・ナシメント、ジョアン・ドナート、そしてアイアート・モレイラのナンバーを取り上げて、ピットインを普段とは異なる色に染め上げた。
●国府弘子(p)、村田陽一(tb)、八尋洋一(el-b)、岩瀬立飛(ds)

スウェディッシュ・ビューティーの最高峰

2011年11月09日

 リーサが2年ぶりに来日し、渋谷JZ Bratに出演。前回はスウェーデン大使館での、関係者向けのパフォーマンスだった。4年前にストックホルムでインタヴューし、同年秋に初来日。一昨年の桑田佳祐曲集『ダーリン』が話題を呼び、今年新作『レット・ミー・ラヴ・ユー』をリリースしたタイミングでのステージである。当初は前回同様、アンドレアス・オーベリ(g)とのデュオを予定していたようだが、蓋を開けてみると邦人クァルテットがサポート。歌の巧さ、スムーズなステージ運び、ハリウッド女優としても活躍する美貌と、多くの才能に恵まれたスウェディッシュ・ビューティーの魅力を堪能した。
●リーサ(vo)、荻原亮(g)、熊谷泰昌(p)、川村竜(b)、柴田亮(ds)

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50代を迎えたサックス奏者

2011年11月11日

 3年前に「ブルーノート東京」で観たケニー・ギャレットが、今夜はクァルテットで丸の内「コットンクラブ」に出演。常に上体を前後に動かしながらアルトサックスを演奏し、存在感を放つ。力強いピチカートを繰り出すコーコラン、激しく叩きまくるホイットフィールドの若手メンバーもスキルが高い。終盤には客席を3分割して、異なるパターンの手拍子を指導するが、これはちょっと難しかった。ギャレットはソプラノも持参したが、結局全編アルトで通した。
●Kenny Garrett (as)、Benito Gonzales (p)、Holt Corcoran (b)、Mark Whitfield (ds)

若手ピアニストのバースデイ・ライヴ

2011年11月12日

 最近は季節をテーマにした企画作のニュー・ロマン・トリオや、CM音楽を手がけるなど着実に成長している松本茜(p)。学芸大学「珈琲美学」でのバースデイ・ライヴに足を運んだ。1987年生まれだから、今日の誕生日を迎えてもまだ24歳の若さ。牧山純子(vln)、tomoca(oboe)のそれぞれとは共演経験があるが、トリオでは今夜が初めて。そんなプレミアム感の漂うパフォーマンスは、珍しい楽器編成が予想以上に好ましく共鳴した。松本の選曲によるローランド・カークのナンバーも演奏。初めて訪れた同店は、ピアノのコンディションが良いと感じた。

ジャズ祭連動のアフター・イヴェント

2011年11月14日

 前日にクライマックスを迎えた《富士通コンコード・ジャズ・フェスティバル2011》の関連公演として、日野皓正=ルイス・ナッシュ日米オールスター・ビッグバンドのピックアップ・メンバーによるナッシュ・カルテットが、秋葉原「Tokyo Tuc」に出演。ライヴ・レポートは12月22日発売の「ジャズジャパン」Vol.17に掲載されるので、そちらを参照してください。
■1st Set: 1.テディ 2.エリントンズ・ストレイ・ホーン 3.オー・プリバーブ4.グッドバイ5.ティン・ティン・デオ
●テレル・スタッフォード(tp)、ジミー・グリーン(ts,ss)、リニー・ロスネス(p)、ピーター・ワシントン(b)、ルイス・ナッシュ(ds)

人気プレイヤーが久々にユニットを復活

2011年11月15日

 今年はDCPRGの復活リリースを始め、相変わらずの精力的な活動を展開する菊地成孔が、ダブセクステットの前身であるクインテット・ライヴ・ダブを一夜限りで復活。ジャズ・ジャーナリスト中川ヨウ氏のオーガナイズによって、久しぶりのステージが「JZ Brat」で実現した。菊地がアコースティック・ジャズにダブ処理を加えた最初のバンドで、サックスを吹きつつ、スタンダード曲「あなたは恋を知らない」や松田聖子「スウィート・メモリーズ」では自慢の喉を披露。菊地の趣味的な色合いのあるバンドだなと思った。
●菊地成孔(sax,vo)、坪口昌恭(p)、菊地雅晃(b)、藤井信雄(ds)、バードン木村(live dub)

ノルウェーの民族音楽イヴェント

2011年11月17日

 「ノルウェー・フォルケラーム・イン・ジャパン2011」@代官山「晴れたら空に豆まいて」に2組が出演。トップ・バッターのスーダン・デューダンはマーリット・カールベルク(vo,langeleik)+アンデシュ E.ロイネ(vo,g)の男女デュオ。同国の伝統的な音楽を穏やかに伝えてくれた。2番手はがらりと雰囲気が変わった6人編成のストーム・ウェザー・シャンティ・クワイア。海の歌をパワフルに歌い上げる2000年結成の男たち。「シェナンドー」「ソーラン節」等、歌唱指導付きの観客参加型だった。

今、ポーランドが面白い

2011年11月19日

 新宿「ピットイン」で2日間にわたり「ポーランド・ニューミュージック・フェスティヴァル」が開催された。日本では一般的には今もまだ、ごく一部のミュージシャンが知られるにとどまる同国から、若手を中心に8名が来日。日本人ミュージシャンも加わって、様々なユニットがショーケース的なステージを繰り広げた。その模様は12月22日発売の「ジャズジャパン」Vol.17でレポートしているので、ぜひ参照してほしい。

世界を席巻するピアニストの凱旋公演

2011年11月22日

 上原ひろみ The Trio Project@浜松アクトシティ。3月にリリースされた『ヴォイス』のレコーディング・メンバーによるジャパン・ツアーの2日目を観た。すでに北米と欧州をまわっており、トリオの結束力は高まっているようだった。アンコールで当地のキャラクター、家康くんが登場し、観客に大受け。地元ならではの演出が和ませた。詳しいライヴ・レポートは「ピアノの本」の次号に掲載される。

欧州在住の先駆的ピアニスト

2011年11月23日

 高瀬アキ・トリオ@ピットインのセカンド・セットを観る。7月リリースの新作『Beauty Is The Thing』(doubtmusic)にも参加した内橋和久(g)と、30年を超える共演関係にある井野信義(b)とのトリオだ。内橋は《ポーランド・ニューミュージック・フェスティヴァル》のディレクター、アルタードステイツと、今月はピットインで大活躍である。プログラムは高瀬のオリジナルの他、セロニアス・モンクを取り上げ、即興曲も演奏。ピアノは鍵盤楽器であるばかりでなく、打楽器であり弦楽器でもあることを示す内容だった。

ジャズ革新者の遺志を継ぐセッション

2011年11月24日

 ビバップの創始者であるディジー・ガレスピーを讃えるオールスターズを、丸の内「Cotton Club」で観た。前回とは一部メンバーが入れ替わったクインテットは、チャーリー・パーカーの「コンファメーション」で幕開け。「バークス・ワークス」「デイ・ドリーム」では最年長85歳のジミー・ヒースが、健在ぶりを示してくれて嬉しい。弟アルバート・ヒース(76)はオーソドックスながら、興趣に富む力強いプレイを披露。やはり定番曲「チュニジアの夜」で1時間半のステージを締めくくった。
●ジミー・ヒース(ts,ss)、ジェレミー・ペルト(tp)、サイラス・チェスナット(p)、ジョン・リー(el-b)、アルバート“トゥーティー”ヒース(ds)

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