Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイリー

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チャート・サミット2012

2012年01月07日

 大阪のラジオ局FM COCOLOでHMVのジャズ・チャートを電話で解説する仕事を、一昨年春から続けていて、好評をいただいている。今日は各ジャンルの専門家4名が初めてスタジオで一堂に会してお届けする、新春特番だ。ワールドの藤川さん、ダンス&ソウルの大伴さん、ロックの岩田さんと、自分より一回り年長のヴェテランの皆さんと、初対面とは思えないほどの盛り上がりで、楽しく生放送を務めた。本番以外の会話でも多ジャンル好きの自分にとっては、興味深いネタの連続で、とっても有意義。終演後はちわきまゆみさんらスタッフを交えた打ち上げで、さらに多彩な話題が飛び出した。

フィンランドの人気ピアニストが来日

2012年01月08日

 ウラジミール・シャフラノフが単身来日。2日連続で出演した赤坂「B flat」での2日目を観た。最近の話題としては、自宅が火災にあったことが報じられたが、今夜のシャフラノフはこれまでの来日公演同様のスインギーなプレイで楽しませてくれた。オープニング曲の「あなたと夜と音楽と」でビル・エヴァンス・ヴァージョンのアレンジを採用して、いきなりピアノ・ファンにアピール。「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」のエンディングでは、50年代マイルス・デイヴィス・オリジナル・クインテットでレッド・ガーランドが弾いたイントロを使用し、アメリカ産モダン・ジャズを自身の音楽性の土台としていることを改めて表明。アンコールの「セント・トーマス」はファンへの嬉しいプレゼントとなった。共演者の楠井五月(b)、小松伸之(ds)の好演も特筆したい。

新春の名門クラブを飾ったピアノ・トリオ

2012年01月11日

 邦人ジャズ史にあって、1995年は木住野佳子、ケイコ・リー、鈴木重子がデビュー作をリリースしたことで記憶されるべき年。鈴木とのデュオ作で新境地を開拓した木住野が、今夜丸の内Cotton Clubで本年初公演を行った。2008年作『フェイス』をきっかけにレギュラー活動を継続している西嶋徹(b)+岡部洋一(ds,per)とのトリオ公演だ。木住野の安定感のあるMCが好ましい。本領であるビル・エヴァンスの「ワルツ・フォー・デビー」を様々なリズムでアレンジしたのは、邦人のこのジャンルで長年活動している木住野ならではの、今のタイミングでの矜持だったのかなと思った。最近ハマっているタンゴの楽曲から「ジェラシー」「リベルタンゴ」、そしてラストはブラジル楽曲と、バラエティ豊かなプログラムで楽しませてくれた。様々なバンドで活躍する岡部の力演を聴き、現在の木住野にとって欠くことのできない音楽パートナーと実感した。

最良のメンバーを得た最強ドラマー

2012年01月12日

 2010年10月に丸の内Cotton Clubに出演し、ブランフォード・マルサリス、テレンス・ブランチャード、ロバート・ハーストとのオールスター・クァルテットで強烈なインパクトを与えたジェフ“テイン”ワッツ。1年3ヶ月ぶりの同店への出演は、メンバーをがらりと替えたワン・ホーン・クァルテットとなった。かつては大手ソニーからリーダー作をリリースしていたワッツは、数年前に自主レーベルDark Key Musicを立ち上げて、自分が信頼を置くミュージシャンとのアルバム制作を重ねている。爆発力満点のドラミングは今夜も存分に発揮された。リーダーに煽られたからか、デヴィッド・キコスキが眼鏡を吹き飛ばすほどの熱演。記念日を題材にした新曲「May 15th,2011」も披露してくれた。
●Jeff “Tain” Watts(ds) Marcus Strickland(ts,ss) David Kikoski(p) James Genus(b)

邦人ニューヨーカーの凱旋公演

2012年01月13日

 2010年のドイツ<メールス・フェスティヴァル>で初めてステージを観て、インタヴューをして以来、連絡を取り合ってきた吉田野乃子(as)が、NYで活動するペットボトル人間を率いて再来日を果たした。昨年デビュー作をリリースし、媒体で高評価を得ている。今夜は藤井郷子のスペースワン主宰による“入谷なってるハウス”での公演を観た。演奏時間の短いオリジナル曲の連続は、師匠ジョン・ゾーン譲りと言えるが、吉田には若さという武器があり、観客に大いにアピールしたと思う。第2部では吉田ら3人と、日本人ミュージシャンが、日米のジャズ・シーンを率直に語るトーク・セッションが行われ、非常に興味深い内容がシビアな現状を考えさせられる契機になった。第3部ではゲストを交えた即興演奏で、予期せぬ出会いの妙味を体感した。

新作リリース記念のホール・ライヴ

2012年01月28日

 昨年11月に3年ぶりの新作『ミュージック・イン・ユー』をリリースした西山瞳が、仙川アヴェニュー・ホールでレコーディング・メンバーのトリオによる記念コンサートを行った。初めて訪れた同ホールは、最大160席が可能で、都内では唯一イタリアのピアノFazioliを常備していることで、最近注目を集めている。今夜はこのピアノ・メーカーと密接な関係を築いて、PR役の代表格と言える西山にとっても、待望のステージとなった。新作からのレパートリーを中心に、ファースト・セットの4曲目ではビル・エヴァンス作曲の「ローリー」をカヴァー。1?3曲目に続く自然な流れを作り、しかもかつてエヴァンスを研究した成果が、この曲の邦人ピアニストとしては最高の演奏に結実したことを特筆したい。セカンド・セットの「ヴェリー・アーリー」も、個人的に嬉しい選曲となった。アンコールではストックホルム録音第1弾『キュービウム』からの「ユー・アー・ノット・アローン」を選び、ファンのニーズに応えてくれたのも嬉しい。終演後のサイン会も盛況だった。

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