Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイリー

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2013年06月01日  ベルギー生まれの超絶ピアニスト

2013年06月01日

ジェフ・ニーヴ・トリオ@Cotton Club。同店にはホセ・ジェイムズとのデュオと、今夜と同じトリオに続く3度目の出演になる。全員がステージに現れてポジションについた1曲目は、ピアノ独奏の「ラッシュ・ライフ」。終わってすぐにトリオの2曲目が始まったが、独奏曲が意外に長かっただけに、他の二人は2曲目の直前の登場でもよかったと思う。現在もクラシック音楽に取り組んでいるニーヴは、左手の強力なテクニックが圧巻。テウン・ヴァーブルッゲンが小物を多数使用しながら、セオリーに囚われないドラミングで貢献した。テウンは今年に入って、リーダーCDを送ってくれるなど連絡を取り合っており、今夜が初対面となった。

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2013年06月03日  チック・コリアの新生トリオ

2013年06月03日

チック・コリア/スタンリー・クラーク・トリオ@ブルーノート東京。今世紀に入ってもリターン・トゥ・フォーエヴァーの再結成プロジェクトを含め、40年の共演関係にあるチックとスタンリー。チックが新たに始動させたユニット“ザ・ヴィジル”のドラマーでもあるマーカス・ギルモア。それぞれが異なる国の仕事先から来日したという、ぎりぎりのスケジュールで迎えた6日間公演の初日だ。スティーヴ・スワロウ曲「アイダーダウン」で始まると、「ソーム」「マイ・ワン・アンド・オンリー・ラヴ」と、その場でチックとスタンリーが話して決める選曲スタイルで進行。本編ラストの「浪漫の騎士」は最後にピタリとフィニッシュし、今夜のハイライトとなった。ギルモアは祖父ロイ・ヘインズ譲りのテクニックをベースに、新世代らしく若々しいセンスも加えて好演。演奏中も常に器具でドラムの張り具合を微調整し、繊細なところを見せた。チックが起用した理由に納得。アンコールの「リコーダ・ミー」は作曲者ジョー・ヘンダーソンのグループで、チックとスタンリーが演奏したことのあるナンバー。ヴェテランの貫禄が光る演奏を堪能した。

2013年06月04日  NYで話題の先端バンド

2013年06月04日

ERIMAJ@Cotton Club。昨年デビュー作『Conflict Of A Man』がデジタルのみのリリースながら、iTunesジャズ・チャートで1位を獲得し、その話題は日本にも届いていた中での、本邦お目見え公演である。メンバーは自分の名前を逆さ綴りにしてバンド名にしたリーダーのジャマイア・ウィリアムス(ds,vo)のほか、コーリー・キング(tb,key,vo)、マシュー・スティーヴンス(g)、ヴィセンテ・アーチャー(el-b)の4人。事前に彼らの音楽を聴いていない状態で、ライヴに臨んだ。1曲目がトニー・ウィリアムス“ライフタイム”のカヴァー曲だったことで、音楽性の一端を了解。ギターがサウンドの前面に位置していたのに対し、ズテージ前半のキーボードは埋没しているように感じた。ところがキングがトロンボーンを吹き出すと、サウンド全体のバランスが良くなって、このバンドには管楽器が似合うとの結論に達した。総じて言えば、ジャマイア・ウィリアムスの演奏が堪能できるバンド。今回の来日に合わせて制作されたと思われるデビュー作のパッケージCDを購入。帰宅後、パーソネルを確認しながら試聴して合点がいった。アルバムではキング(tb,b-vo)は鍵盤を演奏しておらず、ジェイソン・モラン(p,el-p)が専門担当。リード・ヴォーカルのクリス・ターナーと、テナー&バスクラのジョン・エリスが参加。つまり今回の来日バンドは最小の編成でアルバムの世界観を表現するための海外公演仕様だったのである。ライヴでの物足りない部分が、アルバムを聴いて解消されたのだった。

2013年06月05日  巨匠にインタビュー

2013年06月05日

 現在、スタンリー・クラークとのトリオでブルーノート東京に出演中のチック・コリアに、同店でインタビュー。チックがホテルを出発するのが遅れたため、定刻から30分後にスタートした。楽屋に入るとチックは食事中。「食べながらでも構わないかい?」30分という限られた取材時間だったため、通常とは変えてチックの言葉の日本語訳は無し、の短縮ヴァージョンで通訳の方にはお願いした(同じ方に以前、同じ方法でお願いしたことがあり)。その様子を見ていたチックは、しばらくすると、ぼくに直接英語で質問するように促す。通訳の方がいるので、と断ったのだが、結局は直接英語での質疑応答で進行。70年代からずっとファンで、15年ほど前、ぼくがジャズ・ディスク大賞選考委員をしていた時に話をしたことがある、と告げると、さらに距離が縮まった。チックの人間性の素晴らしさにも触れて、惚れ直したのが収穫。インタビュー記事は来月発売の「ジャズジャパン」に掲載予定。

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2013年06月06日  初の自己監修作を発売したピアニスト

2013年06月06日

ベニー・グリーン・トリオ@Cotton Club。今年発売の新作『Magic Beans』の参加メンバーであるケニー・ワシントン(ds)と、ハンク・ジョーンズ・トリオ最後のベーシスト、デヴィッド・ウォンを帯同。同作収録曲の「ベニーズ・クリブ」「ケニー・ドリュー」や。急速調の「ソニー・クラーク」、新曲「モブレイズ・エクスカーション」のように、特定のジャズ・ミュージシャンに捧げた自作曲が多数。さらに昨年他界したクレア・フィッシャー曲「ペンサティヴァ」や、グリーンにとってNYの父と言えるウォルター・ビショップJr.を偲んだ「ビッシュ・バッシュ」と、バックグラウンドを知る選曲が興味をそそる。アンコールはデューク・ピアソン曲「チャント」。グリーンとの息の合ったところを見せたワシントンはやはり強力だった。

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2013年06月07日  急成長中のピアニスト、横浜編

2013年06月07日

桑原あいトリオ・プロジェクト@モーション・ブルー・ヨコハマ。4月発売の第2弾『ザ・シックス・センス』が好調で、媒体への露出も増えている桑原が、同作のメンバーを率いたレコ発記念ライヴだ。これが今、勢いのあるミュージシャンなのだなと納得させる、若さ弾けた全力パフォーマンス。3月に同じメンバーのライヴを観ているが、会場が変わったことだけでなく、わずか3ヵ月での急成長がミュージシャンとしての存在感を大きくしているのだと思う。予定時間をオーヴァーしての熱演。女性客が多い満員の盛況なのも良い。

2013年06月10日  富士通コンコード・ジャズ・フェスティバル

2013年06月10日

 毎年恒例の大型イベントが、今年の東京公演は五反田のコンサート・ホールから、会場をブルーノート東京に移して2日間の開催にリニューアル。これは至近距離で鑑賞できる点だけをとっても、歓迎するファンは多いだろう。懸念したのはホールであれば3時間を要する公演に、時間的制約が生じること。しかし終わってみれば、休憩無しのたっぷり2時間のステージは、満足度が高かった。ルイス・ナッシュとジェフ・ハミルトンの二大ドラマーが率いる2組のトリオを土台に、トランペット、テナー、アルトの各2名3組が入れ替わり加わるプログラム。数多い見せ場の中で、終盤に飛び出したナッシュとハミルトンのスネアドラム対決が、今夜のハイライトとなった。

2013年06月12日  グラミー賞受賞記念コンサート

2013年06月12日

New Essential Collection@大和田伝承ホール。ローランド創業者・梯郁太郎氏のテクニカル・グラミー賞受賞記念公演。まず同氏の経歴が映像で紹介されてから、本人が挨拶。まさに立身出世の人物である。今夜のイベントの副題が「ミューズと鍵盤の祝宴」とあるように、加羽沢美濃、木住野佳子、高橋多佳子のピアニストとオルガニスト橘ゆりの女性4名が次々と演奏。使用楽器はデジタル・モデルではアコースティック・グランドに近い音のローランド V-Piano GRANDと、コンソールタイプ・オルガンの最高峰 MUSIC ATELIER AT-900。特に後者の橘は「テイク・ファイヴ」で、NYの風景の動画を上映しながら、「スパイ大作戦」のテーマを挿入する好アレンジで、シンフォニクなサウンドに仕立てたのが見事だった。第2部最終曲で、そのオルガンを使った冨田勲作曲の「源氏物語幻想交響絵巻」の演奏が予定されていたのだが、楽器がまさかの故障、のハプニングが勃発。結局、回復する見込みがないために、そのままコンサートは終了となった。終演後にバックステージで木住野さんと談笑。

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2013年06月14日  初登場のイタリアン・デュオ

2013年06月14日

ダニーロ・レア&フラヴィオ・ボルトロ@Cotton Club。2011年リリースのデュオ作『Opera』を中心にしたプログラムだった。アルバムは数多く聴いてきたが、ライヴ鑑賞は初めてのレアは、芳しいピアノ・サウンドで存在感を放つ。ボルトロは器具を使わずに、吹き方のテクニックのバリエーションや、ミュート代わりに手を使う方法で、多彩なサウンドを生み出す。まったく飽きさせないパフォーマンスが素晴らしい。アンコールでは、レアの初来日がニニ・ロッソ・グループだったことにちなんで、日本でも人気を博したロッソの代表曲「夜空のトランペット」を演奏した。

2013年06月20日  西アフリカから世界に飛躍するギタリスト

2013年06月20日

 ベナン共和国出身の新世代ギタリスト、リオーネル・ルエケには“神出鬼没”のイメージが強い。本邦初登場となったのが2005年の<東京JAZZ>で、何の前触れもなくハービー・ハンコックと共演。これはインパクトが大きかった。その後も様々なミュージシャンのアルバムにゲスト参加していて、動きの読めない活動に自由人の印象を深めてきた。今夜はマイケル・オラトゥジャ(el-b)+ジョン・デイヴィス(ds)とのトリオ@新宿ピットイン。「イフェ」「ホープ」等、昨年リリースの最新作『Heritage』収録曲を中心に構成。アフリカ出身者らしいメロディ・センスやタッピングとミュートを多用する独特の奏法によるギターと、アタッチメント使用の一人コーラスの歌唱が、類例のない個性を発揮する。デイヴィスの熱演と相まって、三人が生み出す強力なグルーヴ感が会場に充満。観客の興奮を煽った。アンコールではルエケの歌唱指導で観客と合唱。盛会となった。

2013年06月21日  若手グループの凱旋帰国ライヴ

2013年06月21日

 徳田雄一郎RALYZZDIG@ピットイン。マレーシアとインドをまわったアジア・ツアーを成功させたクインテットが、同店に再登場。海外で着実にファンを拡大しているバンドは、3月リリースの最新作『クロッシング・カラーズ』収録曲を中心にプログラムを組んだ。ヴォーカルにも力を入れる徳田は、オープニングの「ニュー・ロード、ホエン・ユー・ウォーク・オン」から日本語で歌唱。以後、タイトなバンド・サウンドの直球勝負による演奏が続く。その清々しい姿勢は、普段よりも割合の多い女性客に彼らの音楽の魅力を体感させたようだ。徳田には発売中の「ジャズジャパン」7月号でインタビューをしており、自主制作のレーベル運営を含めて、若手世代のモデルケースとして応援したいと思う。

2013年06月26日  カナダ大使館でのプロモ・ライヴ

2013年06月26日

 トロント出身の男性歌手マット・ダスク(1978?)が、7月10日発売の新作『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』のプロモーションのために来日。今夜はカナダ大使館のオスカー・ピーターソン シアターで、関係者向けのプロモ・ライヴが開催された。同作は1988年に逝去し、今年で25年になるチェット・ベイカーに捧げたソングブック。イリアーヌ・イリアスも今年、同様の新作をリリースしているが、ダスクはチェットと同じ男性ということで、直接的に受けた影響が強いようだ。ピアノだけを伴奏に、質疑応答を含めて約1時間のステージを務めた。それにしてもカナダはヴォーカリストの宝庫だと実感。

2013年06月28日  サザン・ロックの名手が久々に来日

2013年06月28日

 ディッキー・ベッツ&グレイト・サザン@ビルボードライブ東京。70年代の高校時代にリアルタイムでファンになったオールマン・ブラザーズ・バンドのギター&ヴォーカリストを、この年になって初めて観られる幸せを、開演前から感じていた。場内を見渡すと、やはり年季の入ったファンが数多い。トリプル・ギター+キーボード+ベース+ツイン・ドラムスの7人編成。トレードマークのテンガロンハットを被って登場したベッツは、当時と変わらない歌声とギター・プレイで、今年70歳になる年齢を感じさせない。オールマン時代の代表曲「ステイツボロ・ブルース」のイントロが流れてきただけで、鳥肌が立った。インストゥルメンタルの名曲「エリザベス・リードの追憶」ではギターとキーボードがソロをリレーしたのに続き、ドラム合戦へと展開。ここに至って、実は二人共パワー・ヒッターで、大変なテクニシャンだったことが明らかになって驚いた。ラスト曲の「ランブリン・マン」では観客が大合唱し、ステージと客席がひとつに。終演直後には最前列の観客が次々にレコード・ジャケットを差し出すと、ベッツは気さくにサインに応じた。自分のロック魂に火がついた一夜であった。

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