Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイリー

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2013年09月01日  人気ベーシストが恒例の来日

2013年09月01日

マーカス・ミラー@ビルボードライブ東京。ミュージック・ペンクラブ・ジャパンのHPに寄稿したレポートを、以下に転載する。
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 6人編成のバンドで来日。前半は昨年リリース作『ルネッサンス』収録曲が中心のプログラムだった。冒頭から重量感溢れるエレクトリック・ベースでバンドを牽引し、「デトロイト」ではファンキーなチョッパー奏法が全開。アルトサックスをフィーチャーした「ジキルとハイド」は、ホットとクールなパートが共存し、1曲の中で二面性を表現する楽想が面白い。最初のハイライトになったのが、ジョージ・デューク・トリビュートとして選曲した「スイート・ベイビー」。8月に67歳でこの世を去ったフュージョン・キーボードの大御所を演奏で弔った後、「ジョージの魂を受け継ぎ、これからも笑顔でプレイしたい」とのコメントに共感。アンコールの名曲「マイ・ワン・アンド・オンリー・ラヴ」をマーカスのバスクラリネットとピアノのデュオで演じたのは、ジャズ・ファンも納得だった。観客のリクエストに応えて、「デヴィッド・サンボーンの依頼で19歳の時に書いた」という「ラン・フォー・カヴァー」は、長年のファンには感涙もののシーンとなった。

2013年09月04日  9年ぶりに来日したイタリアの巨匠

2013年09月04日

 エンリコ・ピエラヌンツィが待望の再来日を果たした。前回の2004年がようやく実現した初来日公演で、2011年春に2度目の公演がアナウンスされていたのだが、震災のためにキャンセルとなってしまった経緯がある。トリオの共演者であるラリー・グレナディア+ジェフ・バラードは現在のブラッド・メルドー3のメンバーでもあり、エンリコとは結成間もなくてまだアルバムは制作していない。3日間公演のうち、初日の2日と最終日の4日の各ファースト・セットを観て、3日にはインタビューを行った。それらの中から印象的な点を挙げておく。
●共演者の二人はメルドー・トリオと同じ動きではなく、特にバラードは積極的にエンリコ流儀へとアプローチしていた。
●今後、共演を重ねるにしたがって、変化する可能性を感じさせる。
●PJBトリオは解散したわけではなく、今後復活の可能性はある。
インタビュー時のエンリコは、9年前に食事会で話をした時のことをよく覚えていて、記憶力の良さに驚いた。

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2013年09月05日  ノルウェーが誇るピアニスト

2013年09月05日

 ヘルゲ・リエン・ソロ&デュオ@新宿ピットイン。今夜のヘルゲはトリオではないフォーマットだが、それだけに貴重な機会だと言っていい。まずヘルゲ・トリオ新加入のペル・オッドヴァ・ヨハンセン(ds)の30分のソロで始まり、ヘルゲ・ソロが17分続いた。その後のデュオ・パートではリズミカルな20分?バラード?フリーと3曲を演奏。多彩な引き出しを持つヘルゲの、音楽性の一端を日本のファンに知らしめた意味で有意義なステージだった。

2013年09月06日  有楽町から学芸大学へ 

2013年09月06日

 メイン・ステージ公演を翌日に控えた<東京JAZZ>の関係者向けコンベンション@Cotton Club。主催者のスピーチと出演者のショーケース・ライヴで構成。桑原あい(p)のフレッシュな挨拶が笑いを誘った。あれよあれよという間の急展開に、本人が戸惑っている様子。ライヴではポーランドのマチェイ・オバラ(as)率いるインターナショナル・カルテットは、ノルウェーの売れっ子ウーレ・モーテン・ヴォーガン(b)、トーマス・ストローネン(ds)の好演を含めて素晴らしい演奏だった。終演後にバックステージでミート&グリート。
 終了後、学芸大学へ移動。リュウ・ミホ@珈琲美学。10月9日に『ビコーズ・ザ・ナイト』をリリースするヴォーカリストが、新作収録曲をいち早く披露した。

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2013年09月07日  東京最大級のジャズ際

2013年09月07日

 12回目を数える<東京JAZZ>。土曜日のホールAは、トニー・ベネット、リー・コニッツ、オマーラ・ポルトゥオンドと、80代の健在ぶりが顕著になった。主催者がそれを企図したわけではなく、結果的にそうなったのだろうと思えるのは、その事実を集客のためにアナウンスしなかったから。久々の来日となったベネットは、年齢を感じさせない高音域も力強い歌唱が大きな感動を呼んだ。大江千里がシーラ・ジョーダンを敬愛し、この大ステージに呼び寄せたのは収穫。自身のキャリアを歌詞に織り込んだ定番ブルース等、100席のピットインで聴き慣れているシーラが、5000席の東京国際フォーラムであろうと等身大の魅力を輝かせていると感じて、嬉しく思った。コニッツはもや悟りの境地。

2013年09月08日  東京最大級のジャズ祭 その2

2013年09月08日

 昼の部のトリは『クァルテット・ヒューマン』のボブ・ジェームス&デヴィッド・サンボーン。休憩時間にFM COCOLO番組に電話で生出演し、現場のレポートを行った。夜の部は桑原あいトリオ・プロジェクトが、大舞台で若さを爆発させれば、ボビー・マクファーリンの代替公演を引き受けた昼の部のジェームス&サンボーンが、ヒラリー・ジェームスらのゲストを迎えて奮闘。チック・コリアの新バンドVigilは、強力なデュオを演じたドラムス&パーカッションを含んで、前進欲衰えない巨人の姿を頼もしく思った。

2013年09月09日  スイス大使館でのライヴ・イヴェント

2013年09月09日

 <東京JAZZ>の地上広場に出演したルスコーニが、関係者を招いたスイス大使館のイヴェントで演奏。ぼくは2011年に<ペナン・アイランド・ジャズ祭>でこのトリオを観ていて、1500人収容の野外ステージは観客を巻き込んだ異色のものだった。当夜はベースのファビアン・ギスラーがギターを持ち替えて、常識にとらわれないサウンドを展開。予定の30分を超えて、パフォーマンスは1時間にも及んだ。終演後のパーティーで、ステファン・ルスコーニ(p)と談笑。

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2013年09月11日  NYの新世代ドラマーが丸の内に初登場

2013年09月11日

 ケンドリック・スコット・オラクル@Cotton Club。新作『オラクル』のプロモで今春来日した時のインタビューでは、ジョー・サンプルとの出会いなど意外なエイソードが飛び出し、癖のない話し声から真面目な人柄が感じられた。5人編成のオラクルは、ブルース・リーに触発された「ビー・ウォーター」を皮切りに、ツアー中のホテルで書いた「セレニティ」、スコットが強力なリーダーシップを発揮した「トゥー・マッチ」、シダー・ウォルトン、マリアン・マクパートランドら最近逝去したピアニストに捧げた「ユー・ノウ・アイ・ケア」等を演奏。アンコールではジョン・エリス(ts)とテイラー・アイグスティ(p)が光った。

2013年09月21日  ピアノトリオの魅力を堪能したライヴ

2013年09月13日

 ジョーイ・カルデラッツォ・トリオ@Cotton Club。同店のホームページに、以下の拙稿が掲載された。
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今春リリースされた最新作『Live』を聴いて唸った。ブランフォード・マルサリスから絶大な信頼を受け続ける名声に隠れていたリーダーとしての才能が、13年ぶりのトリオ作によって、より鮮明な姿で現れ、強烈なメッセージを突きつけたのだ。ビル・エヴァンスの楽曲でピアノトリオの王道継承を明らかにするばかりでなく、70年代にキース・ジャレットが残した成果にもスポットを当てて、新境地を開拓。今が旬のピアニストを最良の時期に堪能できる喜びを、ぜひ多くの人々と分かち合いたい。
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 「オール・オブ・ユー」で始まったステージは、本編最終曲「ジャスト・ワン・オブ・ゾーズ・シングス」でドラマが待っていた。ベース・イントロに続いてはピアノ主導となり、ラストまで進行。まるで音楽の神が舞い降りたかのような、カルデラッツォ入魂のプレイが圧巻だった。

2013年09月16日  珍しい三兄弟のビッグバンド

2013年09月16日

 パット(ts)、ジョー(ldr)、ジョー(ds)のラバーベラ・ブラザーズは、それぞれが個人で活動するヴェテラン。今夜は三人が共演する場でもあるビッグバンドが初来日し、メルパルク横浜に出演した。「チュニジアの夜」、「ストレート・ノー・チェイサー」、「オール・ブルース」を交えた「ソー・ホワット」、「アトランティス」(マッコイ・タイナー)、「A列車で行こう」、「スペイン」と、スタンダードとジャズ・ナンバーを中心としながらも多彩な選曲と秀逸なアレンジを聴かせてくれた。ビュッフェ・ディナー付きの、実に贅沢な時間であった。

2013年09月17日  世界最高の歌手が横浜を熱くさせた夜

2013年09月17日

 「エキゾチック・ヴォーカル」と題して、ユン・サン・ナとダイアン・リーヴスが横浜市開港記念会館で競演。第1部のユン&ウルフ・ワケニウスは2000年代後半からデュオ活動を始め、今回が初来日。プログラムが進むにつれて、チャーミングなルックスのユンが、実は驚異的な歌唱力を兼ね備えた実力者だと明らかになり、今回が初めてユンを観る機会と思われる観客多数の興奮が次第に増してゆく。アジア最強であると確信したステージとなった。ユンのプロデューサーと知り合いである関係で、終演後ユンと談笑。本人はまだ2回目の来日なので、海外での評価に見合った日本でのファン開拓に期待したい。

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2013年09月20日  新作発売記念の東京公演

2013年09月20日

 山中千尋の新作『モルト・カンタービレ』は初のクラシック名曲集。いつか取り組みたいと思いながら暖めていた企画が、ようやく期が熟したということでアルバムになった。発売記念ツアーの最後を会場の異なる2回の東京公演で飾り、その1日目は紀尾井ホール。「トルコ行進曲」「エリ?ゼのために」等を、大胆にアレンジしており、それらはクラシックのジャズ化というよりも、山中自身の音楽へと装いを新たにさせた点で大いに評価したい。いつもながらのエネルギー全開のプレイだった。終演後のサイン会にできた長蛇の列に驚愕。

2013年09月21日  ピアノトリオの魅力を堪能したライヴ

2013年09月21日

 ジョーイ・カルデラッツォ・トリオ@Cotton Club。同店のホームページに、以下の拙稿が掲載された。
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今春リリースされた最新作『Live』を聴いて唸った。ブランフォード・マルサリスから絶大な信頼を受け続ける名声に隠れていたリーダーとしての才能が、13年ぶりのトリオ作によって、より鮮明な姿で現れ、強烈なメッセージを突きつけたのだ。ビル・エヴァンスの楽曲でピアノトリオの王道継承を明らかにするばかりでなく、70年代にキース・ジャレットが残した成果にもスポットを当てて、新境地を開拓。今が旬のピアニストを最良の時期に堪能できる喜びを、ぜひ多くの人々と分かち合いたい。
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 「オール・オブ・ユー」で始まったステージは、本編最終曲「ジャスト・ワン・オブ・ゾーズ・シングス」でドラマが待っていた。ベース・イントロに続いてはピアノ主導となり、ラストまで進行。まるで音楽の神が舞い降りたかのような、カルデラッツォ入魂のプレイが圧巻だった。

2013年09月24日  若手ヴォーカリストにインタビュー

2013年09月24日

 Ryu Miho インタビュー@キングレコード。前作『アンド・ユー・ウィル・ファインド・ミー』ではインタビューが叶わぬまま「ジャズジャパン」に寄稿しており、その後ライヴで本人と話す機会を重ねて、ようやく今回、同誌への正式インタビューの機会を得たというわけである。ホームペ?ジでは詳述されていないこれまでのキャリアや、10月9日発売の新作『Because the Night』について、たっぷりと話を聞いた。ジャジー・ポップなウィスパー・ヴォイスの歌唱スタイルがどのように作られたのか、の秘密が明らかに。

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2013年09月26日  演歌の女王が贈る特別な夜

2013年09月26日

 八代亜紀シンフォニック・スペシャル・ナイト@すみだトリフォニーホール。ジャズ・アルバムを発表して話題を呼んだ演歌の女王のコンサートは、第1部がクインテットをバックにしたジャズ・セッション。一部の旋律が共通する「五木の子守唄」と「いそしぎ」のメドレー等で、ジャズ・ヴォーカルも飲み込んだ八代ワールドを聴かせた。第2部はトリフォニーのお家芸である新日本フィルとの共演で、「舟唄」「雨の慕情」等のレパートリーをゴージャスにアレンジ。数多くの大舞台を経験してきたヴェテランの、観客の心をつかむ底力は、邦人ジャズ歌手にも見習うべき点があると思った。

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