Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイリー

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2013年05月02日  ピアノ&ヴァイブの新鮮なデュオ

2013年05月02日

 先月、オーストラリア大使館の観桜会で知り合った栗林すみれ(p)の厚意で、阿佐ヶ谷クラヴィーアでのライヴに足を運んだ。2年前に結成し、今月デビュー作のリリースを控えるデュオ・チーム“すみれいこ”のパートナーである山本玲子(vib)と共に、スタンダード、オリジナルを選曲。当夜、初めて栗林の生演奏を聴いたのだが、意外にもビバップに根差したピアノ・スタイルだった。1月にデビュー作『テンパス・フュージット』をリリースした山本も初めてだったのだが、元々人口の少ないこの楽器を志して地道に自分のファンを増やしていきたいとの気持ちが感じ取れた。すみれいこ名義のデビュー作『Blue Bird』は5月14日のリリース。

2013年05月03日  ビッグバンドとフュージョンと

2013年05月03日

 15:00開演のビッグバンド・フェスティヴァル@文京シビックホール。エリック・ミヤシロ EM BAND。岡本章生とゲイスターズ、見砂和照と東京キューバンボーイズを鑑賞。日本の斯界を支えてきたミュージシャンたちに敬意を表したいと思った。
 時間の関係で、森寿男とブルーコーツをあきらめて六本木へ移動。デオダート@ビルボードライブ東京。ミュージック・ペンクラブ・ジャパンへの寄稿を以下に再録する。
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事前情報は4管を含むノネット。これは32年ぶりの来日が話題になった2006年のセプテットに比べて、トロンボーンとサックスの2名が増強された編成。デオダート・サウンドをライヴで再現するための理想に近づいたことが期待を高めた。オープニングに早くも70年代の出世曲「ツァラトゥストラはかく語りき」を演奏したので、ではこの後の選曲はどうなるのか、と思っていると、「ビーズと指輪」「ラプソディ・イン・ブルー」「摩天楼」と、70年代のCTI作品に特化したことが明らかに。そしてラスト・ナンバーで再び「ツァラトゥストラ」の再演に至り、デオダートがテンテットでの74年の初来日公演を意識していたことが、くっきりと浮き彫りになって、同公演を生体験したぼくに感動の波が押し寄せた。アンコールの「ドゥ・イット・アゲイン」まで、満足度100%のパフォーマンスだった。

2013年05月04日  親日家の女性ヴォーカリスト

2013年05月04日

 サラ・ガザレク@Cotton Club。早くも今回で8回目の来日公演になる。昨年リリース作『花とミツバチ』でブロッサム・ディアリーへの敬愛を表明したサラは、「ユー・アー・マイ・サンシャイン」でスタート。「ブラックバード?バイ・バイ・ブラックバード」「エヴリシング・アイヴ・ガット」「二人でお茶を」と、スタンダード・ナンバーを心地よく歌い上げる。ピアノとのデュオによる『女王組曲』からの「バラのひとひら」と、「ラヴ・ユー・マッドリー」のエリントン・ナンバー2連発で、ジャズ・ヴォーカリストとしての矜持を示した。アンコールの「マイ・シャイニング・アワー」まで、安定した歌唱がGWにふさわしい寛ぎの時間を提供。ジョシュ・ネルソン(p)らバックのトリオも手堅い演奏だった。

2013年05月05日  ノルウェーの新世代ヴォーカリスト

2013年05月05日

 スサンナ・ヴァルムルー(vo,p)・トリオ@ピットイン昼の部。2004年のスサンナ&マジカル・オーケストラ、2008年のトリオに続く3度目の来日公演だ。近年は個人名義作やジョヴァンナ・ペッシのECM盤への参加、トルド・グスタフセンとのコラボレーション等、フェスティヴァルからの委嘱作を含めて、活動範囲を拡大している。90分=1セットのステージは、心地よい歌唱に癒されるものだった。

2013年05月6日  世界最高のピアノ・トリオ、第一夜

2013年05月06日

 今年はキース・ジャレット・トリオが結成30周年を迎えたアニヴァーサリー・イヤー。しかしチケットの売り出しと共に、今回が最後の来日公演であるともアナウンスされ、複雑な思いを抱きながらこの日を迎えたファンが少なくなかったと思われる。渋谷オーチャードホールでの初日の収穫は、ペギー・リーの歌唱でお馴染みの「フィーヴァー」だった。またアルバム未収録曲「セント・トーマス」は、初体験の観客が多かったとみえて、ドラム・イントロに続いてキースがテーマを弾くと、客席がどよめいた。本編9曲、アンコール3曲の正味約2時間のステージ。

013年05月08日  秋葉原でのトーク・イヴェント

2013年05月08日

 「キース・ジャレット 唯一無二のピアニスト」と題したトーク・イヴェント@秋葉原Le Tabouに出演した。現在トリオで来日中、しかも今日はキースの68歳の誕生日ということで、最高のタイミングとなった。2時間半の限られた枠なので、ECMの作品に限定し、各時代を代表する選曲で構成。会場は定員を上回る来場者で満席に。終演後、お客様から感謝の言葉をいただき、自分も満足。キース・ファンを増やすことに貢献できたのが収穫だ。

2013年05月09日  世界最高のピアノ・トリオ、第二夜

2013年05月09日

 本編での“新曲”は「ザ・ビター・エンド」。今夜のサプライズはアンコールで生まれた。セロニアス・モンクの「ストレート・ノー・チェイサー」で、ジャック・ディジョネットが火付け役を演じて、突如フリー・スタイルへと展開。落着点の予想がつかない中、三人がピタリとフィニッシュする驚異的なインタープレイに、場内は大興奮となった。

2013年05月13日  超ヴェテランの歴史を知るステージ

2013年05月13日

 ベニー・ゴルソン・クァルテット@ブルーノート東京。1月に84歳を迎えたジャズ・レジェンドが、5年ぶりの来日公演を行った。ゴルソンが曲について語るエピソードが興味深い。ジャズは常に前進し続ける、という考えと、地平線とは決して辿り着けないもの、を重ねたオリジナル曲「ホライゾン・アヘッド」を皮切りに、クリフォード・ブラウンが作曲家としても優れていたことをアピールする「タイニー・ケイパーズ」、ハイスクール時代に出会ったジョン・コルトレーンとの思い出を明らかにした「ミスター・PC」、ブラウン=ローチ・クインテット結成から悲劇的な事故死に至るエピソードを交えた「アイ・リメンバー・クリフォード」と、実体験に基づくモダン・ジャズの歴史の語り部ぶりも発揮。説得力のありすぎるステージに、今日立ち会えたことを喜ばしく思った。

2013年05月14日  ベルギー出身のピアニストがプロモ来日

2013年05月14日

 エリック・レニーニは初リーダー作からフォローしてきたピアニスト。初期はキース・ジャレットからの影響を隠さないスタイルで注目を集めたが、近年は“アフロ・ジャズ・ビート”を率いて、新たな方向性を打ち出している。公演のため韓国に来た機会を利用して、日本にプロモ来日した。アフロ?の最新作『シング・トワイス』のリリース直前のタイミングということもあり、グループ結成の経緯と背景を本人から直接聞くのが興味のポイントだった。子供の頃からヴォーカルがレニーニにとって重要であることや、ワールド・ミュージックやヨーロピアン・ポップスのミュージシャンとの交流が、このタイミングで自然な形でヴォーカリストを起用したサウンド作りに至ったのだと理解できたのが収穫。こちらの意図を察知する、気配りの人でもあった。

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2013年05月15日  世界最高のピアノ・トリオ、第三夜

2013年05月15日

 大阪公演を含めて、今回のキース・ジャレット・トリオは全4回のスケジュール。その最終日をオーチャードホールで観た。ファン期待の“新曲”はなかったものの、30周年の最後の来日公演を意識していたであろうキースは、「トゥー・ヤング・トゥ・ゴー・ステディ」「ミーニング・オブ・ザ・ブルース」「ザ・マスカレード・イズ・オーヴァー」といった初期レパートリーを選曲。それは初演よりもキーを下げた異例のアレンジを提示した初日の「オールド・カントリー」を含めて、今回のツアーの総括として断言できる。アンコールを終えた三人がお辞儀をした後、抱き合ったシーンは異例。キースは来年4月末にソロ・コンサートで日本に帰ってくる。

2013年05月16日  ジャズと書のコラボレーション

2013年05月16日

高澤綾(tp)+リュウ・ミホ(vo)+白石雪妃@銀座ノーバード。共演関係を続けながら、それぞれのリーダー活動でステージ・アップしてきた高澤とリュウが、バンドを伴って演奏。そして最後に書家の白石が加わって、約10分の1曲と書のコラボレーションを行った。ジャズと画家のコラボ・ライヴは時々あっても、書家はぼくにとって初体験。楽曲の世界観を日本語・英語・水墨画で描いた白石の見事な即興芸術に感服した。

2013年05月18日  オーストラリアのピアニストが再来日

2013年05月18日

 午後3:00から村井康司氏が講師を務めるイヴェント@神保町グラウアーズに参加。終演後に中華料理店で打ち上げ。
 ナット・バーチュは数年前にオーストラリア大使館と現地を結んだパネル・ディスカッションで知り合い、その後もぼくがライナーノーツを執筆するなど関係を深めてきた。最新作『To Sail, To Sing』をリリースしたタイミングでの2度目の来日公演@ピットイン。アルバムの印象通り、癒し系バラードを中心としたプログラムだった。終演後にはサインを求める列が出来て、この人気を成長させることが肝要だと思った。

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2013年05月20日  デンマークのミューズが名店に出演

2013年05月20日

シーネ・エイ@Cotton Club。2年前の前作『ブルーな予感』のライナーノーツ執筆、およびインタビューでシーネと関わっており、その時はプロモ来日だったので、今回は待望のクラブ出演となった。アルバム・ヴァージョンとはアレンジを変えた「春の如く」、自作曲「ダウン・オン・ウェスト・フーシン・ルー」、シーネが参加したマーク・バーンスタインの新作『Hymn For Life』収録曲「風のささやき」等を披露。魅力的なパフォーマンスに観客の反応も良く、理想的な雰囲気が醸成された。感無量の一夜。終演後には5、6年前にカーステン・ダールらと共に六本木で呑んだモーテン・ルンド(ds)とも再会を祝った。

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2013年05月21日  グラミー受賞作のバンドが来日

2013年05月21日

 パット・メセニー・ユニティ・バンド 1st@ブルーノート東京。今年発表されたグラミー賞で『ユニティ・バンド』が《ベスト・ジャズ・インストゥルメンタル・アルバム》を獲得。昨年すでに欧米での公演を行っているバンドが、ようやく来日を果たした。メセニーが自分のバンドで30年ぶりにサックス奏者と共演したことが話題を集めた同作だが、前任者がマイケル・ブレッカーだったことを考えれば、クリス・ポッターは納得できる人選。その実力を今夜も存分に発揮してくれた。最終曲ではオーケストリオンが登場して、バンドと合体。アンコールはポッターのフルート吹奏による「ついておいで」。原曲を踏まえると、フルートを主旋律に充てたのは正解だと思った。

2013年05月22日  “Lean & Mean”ジャパン・ツアー2013

2013年05月22日

The Thing@ピットイン。マッツ・グスタフソン(sax)+インゲブリグト・ホーケル・フラーテン(b)+ポール・ニルセン=ラヴ(ds)の北欧インプロ・トリオ。ニルセン=ラヴが毎年数回出演する同店の常連アーティストとして人気を獲得していることや、昨年のネナ・チェリーの成功もあり、今夜も立ち見客でぎっしりの超満員。三人のフリー・インプロヴィゼーションは、セカンド・セットの終盤に至って、ソニー・ロリンズ「アルフィーのテーマ」が飛び出した。アンコールではフラーテンがエレクトリックベースに持ち替えて、ハウリングも利用したプレイを繰り出す。彼らの全力投球演奏が、集客力の理由なのだと実感した。

2013年05月23日  実力派ドラマーが率いるトリオ

2013年05月23日

アリ・ホーニグ・トリオ@Cotton Club。ティグラン・ハマシアン(p)+オーランド・レ・フレミング(b)の新世代実力者を揃えて、オリジナル曲を中心にトリッキーな変拍子が渦巻く世界を描いた。アンコールの「リズマニング」はイントロでティグランのヴォイスパーカッションとホーニグがデュオを演じる、ユニークなアレンジ。長髪から普通の髪型になったティグランが、ホーニグがレギュラー・メンバーを務めたピアニストのジャン=ミシェル・ピルクとダブって見えた。

2013年05月28日  本邦最強のラテン・ジャズ・バンド

2013年05月28日

 関西の素晴らしいヴォーカリストが上京する、という噂を聞いて、中路英明オバタラ・セグンド@JZ Bratへ。ゲストの奥本めぐみ(vo,key)は噂に違わぬ歌唱力で、ラテン・フュージョン・サウンドに融け込んでいた。久々に観た中路のトロンボーンはよく鳴っていて、現在の邦人では屈指の使い手だと認識。アンコールのタニア・マリア曲「カム・ウィズ・ミー」では中路やメンバーの大儀見元(per)のミュージシャン仲間である中島徹が飛び入りし、伊藤志宏と共に三人の鍵盤奏者の競演となった。

2013年05月29日  ノルウェーの新しいピアノ・トリオ

2013年05月29日

Mapping Oceans@ピットイン。ヤーン・オイエン(p)+アウドゥン・エリングセン(b)+トーレ・サンドバッケン(ds)が昨年結成したノルウェー産トリオだ。ファースト・セットは完全インプロヴィゼーション。セカンド・セットでは橋爪亮督(ts)が加わり、両者のオリジナル曲を演奏。昨日が初対面でリハーサルを行ったそうだが、その割りには自然に共鳴し合うサウンドを楽しませてくれた。終演後にオイエンと話をすると、2000年代初め
からビーディ・ベルのメンバーで、2003年の来日公演にも参加したとのこと。つまり今夜は10年ぶりにオイエンの生演奏を観たのだった。

2013年05月30日  77歳のヴェテラン・ピアニスト

2013年05月30日

ホッド・オブライエン・トリオ@Cotton Club。今年リリースした新作『ラプソディー』から、「アイ・ヒア・ア・ラプソディー」「愛は海よりも」等を選曲。同作参加メンバーのダリル・ジョンズはまだ16歳のため、ツアーには不参加。今月は色々なピアノ・トリオを観たが、モダン・ジャズの良き伝統を今に伝えるオブライエンのような存在は貴重だと思う。アンコールの自作曲「では、後ほど」では日本語を交えた歌唱で、親日家ぶりを示した。

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