Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイリー

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2013年10月03日  女性ピアニストのレコ発ライヴ

2013年10月03日

 早川由紀子@新宿ピットイン。「ジャズジャパン」12月号掲載の拙稿を以下に転載する。
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  早川由紀子にとってリーダー・バンドと参加バンドで10年近い出演経験があるピットインは、数多くのミュージシャンとファンに出会い、自身のキャリアを育んできた点で特別なジャズ・クラブ。開演前に珍しく緊張している表情だったのは、最新作『ロ?ズ・ネオン』の発売記念ライヴだからだと本人は語った。ところがカルテット全員の合奏で始まる「ワン・ウェイ」でファースト・セットが開幕すると、さっきまで不安感を示した同一人物とは思えない、パーカッシヴでゴツゴツしたピアノ演奏を披露。ステージに上がってしまえば、音楽家として普段通りのモードへとスイッチが入るのだなと納得できた。(中略)自作曲とレギュラー・バンドへのこだわりを印象づける一夜だった。

2013年10月04日  結成15周年のオシャレなユニット

2013年10月04日

 paris match@ビルボードライブ東京。実は外出中にiPodで最も聴いているのがこの男女ユニットだ。三人でスタートし、その後ミズノマリ(vo)と杉山洋介(key)の二人体制になって、現在まで10タイトルのオリジナル・アルバムをリリース。これほど長く続くとは、初期からのファンでも思っていなかった。今夜は「リクエスト・ツアー」と題して、ファンから寄せられたリクエストのランキングでプログラムを決めたという趣向。「眠れない悲しい夜なら」「Angel」「アルメリア ホテル」「風のうまれる場所で」「Stars」「太陽の接吻」「DESERT MOON」等、いい曲が多いのがparis matchの魅力だと改めて感じた。ミズノマリは透明感のある歌声のみならず、かつて名古屋でラジオ・パーソナリティをしていただけあってMCも上手。アンコールの「Saturday」まで、ファンであり続けてきたことの喜びをたっぷりと味わった。●山本一(sax)、堀秀彰(key)、樋口直彦(g)、坂本竜太(b)、濱田尚哉(ds)
 終演後、六本木から新宿へ移動して、ラーゲ・ルンド3@ピットイン 2nd setへ。ノルウェー出身でNYを拠点とするギタリスト。「あの娘の顔に慣れてきた」、「ピース」(ホレス・シルヴァー)を、スムーズでアイデア豊かなシングル・ノート&コード・ワークによるアドリブで聴かせた。アンコールは「センチになって」。●ラーゲ・ルンド(g)、オーランド・レ・フレミング(b)、ジャマイア・ウィリアムス(ds)

2013年10月05日  ポーランドのトップ・シンガー

2013年10月05日

 アナ・マリア・ヨペック@ブルーノート東京。たびたびの来日公演や小曽根真との共演で人気と評価を高めている女性歌手は、今回もすべて母国語歌唱で現地と同じパフォーマンスを届けてくれた。いつもながらの圧倒的な歌唱力に観客が大興奮。本編のラストではアナが客席の小曽根をステージに呼び、飛び入りのピアノ演奏のハプニングで、さらに大盛り上がりに。アンコールではアナと小曽根がデュエットを演じ、最後にメンバー全員のパット・メセニー曲「Upojenie」で大満足となった。終演後、バックステージでアナと再会を祝した。

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2013年10月08日  スウェーデンのアコースティック・クァルテット

2013年10月08日

 ナッカ・フォーラム@ピットイン。ヨナス・クルハマー(ts,cl,piccolo)、クレステン・オスグッド(ds,voice)とは7月にノルウェーの<モルデ・ジャズ祭>で会っているので、わずか3ヵ月後に別のグループで彼らのステージを観ることになる。クルハマー、ヨハン・バットリング(b)、ゴラン・カイフェス(tp)の三人はたびたび来日しているが、トレードマークの帽子を被ったオスグッドは初来日だ。フリーな演奏からは、全員の確かなテクニックと創造性が伝わってきた。
途中で退出して、持山翔子(p)&服部恵(vib,per)@大塚グレコへ。トリオのデビュー作をリリースしたばかりの持山のデュオ・プロジェクトは、オリジナル曲「オレンジ」、「ハヴ・ユー・ハード」(パット・メセニー)、その場で来場者からお題を募った即興演奏などを披露。近年日本人女性ヴィブラフォン奏者が徐々に登場しているが、打楽器も併用する服部は一線を隠す個性の持ち主。まだまだ発展する可能性を秘めたデュオと聴いた。

2013年10月10日  ガッドの流儀

2013年10月10日

 午後は井上銘インタビュー@ユニバーサル。現在ボストンのバークリー音楽大学に在学中の若手ギタリストに、新作などについて話を聞いた。この模様は12月発売の「Jazz Perspective」Vol.7に掲載。
スティーヴ・ガッド@ブルーノート東京。スタジオ録音の自己名義作としては25年ぶりとなる新作『ガッドの流儀』のレコーディング・メンバーで来日してくれた。同作はキース・ジャレットの「カントリー」「ザ・ワインドアップ」をカヴァーしたのが注目で、当夜はそれら2曲を演奏してくれて嬉しい。ちなみにガッドとキースは1945年生まれの同年齢。初日1stで超満員。世代を超えたガッド人気に驚く。1時間25分の大サービスだった。

2013年10月11日  技巧派トロンボーン奏者が初来日

2013年10月11日

 サミュエル・ブレイザー@ピットイン。スイス出身の32歳はピエール・ファーヴル、マルク・デュクレら先進派と共演してきたトロンボーン奏者で、リーダー作『Consort In Motion』はポール・モチアン参加の最後のスタジオ録音として価値がある。第1部ではエリントン・ナンバーを含む選曲を、カップミュートも使った重音奏法で、予想通りのテクニシャンぶりを見せつけた。続いて須川崇志(b)、田中徳崇(ds)が加わったトリオで演奏。第2部はブレイザーと八木美知依(筝)のデュオから、邦人3名とのカルテットへと発展。まさに圧巻のパフォーマンスとなった。アンコールは再びトロンボーン・ソロによるエリントン・ナンバー「ムード・インディゴ」で締めた。

2013年10月12日  ドイツの女性ピアニストが単独来日

2013年10月12日

 ウルリケ・ハーゲ@ドイツ文化会館。リーダー3タイトルをリリースしているピアニストに対して、音の予備知識なしでライヴに臨んだ。アルフレート・ハルト、フィル・ミントンとの実験的なコレボレートや演劇制作の経歴は、ひとつのサウンド・イメージを促す。実際のところ、金属等の小物を使用したプリペアードを含むソロ・ピアノは、全体的には意外にもマイルドな響きで、聴きやすかった。終演後の面談や、その後のメールのやり取りを通じて、円満な人柄を感じた。

2013年10月13日  特集番組にゲストを迎えて

2013年10月13日

 TOKYO-FMのデジタル・チャンネルMusic Birdで構成とパーソナリティを務める番組「Special Works」では、毎週特定のミュージシャンやイヴェントにスポットを当ててオンエアーしている。今日は2枚の新作『HOPE』と『ふるさと』のリリースを控えるピアニスト木住野佳子の特集を収録。本人をゲストに迎えて、デビュー作以来のエピソードをうかがいながら、キャリアを浮き彫りにした。個人名義では5年ぶりの、震災後の初めてとなる新作ということで、期するものがあるのだろう。後続の手本となる存在であってほしいと思った。

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