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Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー

セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブダイアリー」です。

杉田宏樹
音楽評論家。1960年東京生まれ。上智大学文学部英文学科卒業。「スイングジャーナル」のディスクレビューアー、朝日新聞社「ジャズストリート」のレギュラー執筆等、ジャズ関係の仕事を多角的に展開。著書は「ビル・エヴァンス・ディスコグラフィー」、「ヨーロッパのJAZZレーベル」など。ジャズ・ディスク大賞選考委員。ミュージック・ペンクラブ・ジャパン会員。

※杉田さんへのメッセージはこちらから
hachi@7oaks.co.jp

米在住の異色邦人アーティスト

2010年02月19日

 このブログをきっかけに連絡を受けて、メール上のお付き合いが始まったミュージシャンがいる。カリフォルニア在住のハーピスト古佐小基史だ。元々はギタリストとしてプロ活動をしていたが、99年にハープへ転向。ジャズでは歴史と需要の少ない特殊楽器を、何とか日本でも広めたいとの一念で、デモンストレーションとレクチャーを兼ねたイヴェントが、代々木で開催された。会場には学生やブッキング希望者などが参加。オレゴンのポール・マッキャンドレスとのデュオで制作した映像をプレイしながら、ジャズ・ハープの魅力を伝えてくれた。2008年にノルウェーのジャズ・フェスティヴァルを取材した時に初めて観たオレゴンは、30年来のファンとして感激のステージとなり、同年初来日を実現してくれたのも二重の喜びだった。正式アルバムの制作と来日公演に期待すると共に、アシストできれば思った。応援したい気持ちである。

盛大な受賞パーティー

2010年02月18日

 パリで20年間生活し、帰国後はフランス文化を日本に伝える執筆活動を続ける宇田川悟氏。拙著『ヨーロッパのJAZZレーベル』のカヴァー写真を提供していただいたご縁で、氏が経営する神楽坂のバーにおじゃましたり、メールで近況を伝え合う関係だ。今夜はフランス政府農事功労章シュヴァリエ受賞と新著の出版記念を兼ねたパーティーに出席するため、ホテルオークラへ。来日ミュージシャンのインタヴューのために訪れる機会は多いが、オークラでのパーティーは初めてだ。さすがに顔の広い宇田川さんだけあって、政治家、フード・ジャーナリスト、料理人、マスコミ関係者ら400名の盛会となった。その場でローストビーフを切るサーヴィスもあるバイキング形式のフード提供は、食材にもこだわったメニューで、確保するのに一苦労。事前に連絡を取っていたDUG中平氏と談笑しつつ、旧知の編集者と再会。終宴後に新宿DUGへ移動して、ジャズ気分を盛り上げた。

1ヶ月遅れの新年会

2010年02月15日

 毎年1月恒例のパーティーは、諸事情により今年は休会となった。新年を迎えて、自分にとっては約20年間続いていた区切りとなる年頭の宴がなくなってしまったわけで、何となく新しい年が始まって2月を過ごしている感覚が拭えない。そんな状況に大手レコード会社とジャズ業界の重鎮が立ち上がった。今夜は“高田馬場コットンクラブ”での「ジャズ忘年会」。100人近くの関係者が集い、近況報告や情報交換などで交流。個人的にはビジネス・チャンスの場となって、収穫大だった。ジャズ界も経済不況の波が避けられず、売り上げ減少、人員削減、規模縮小を余儀なくされているが、関係者の知恵と協力によってこの危機を打開しなければならない、との共通認識を得たのが心強く、意義深かった。岩浪氏と歌手ティファニーがスキャット合戦を繰り広げ、重鎮評論家が現役黒人女性ヴォーカリストを圧倒した場面が圧巻だった。21:00過ぎに知人と5人で近くの焼酎ダイニング店で2次会。その後3人で六本木へ移動し、早朝まで痛飲した。

老舗ビッグ・バンドの記念コンサート

2010年02月10日

 カウント・ベイシー・オーケストラといえば、デューク・エリントン・オーケストラと並ぶジャズ界の名門楽団。1984年に偉大なリーダーが他界した後も、同楽団関係者が引き継いでバンドの灯を絶やさずにいる。現在はOBでトロンボーン奏者のビル・ヒューズがリーダーを務める。今夜は結成75周年を迎えたベイシー楽団をサントリーホールで観た。日本滞在中にビッグ・バンド・コンテストで受賞した小学生バンドとベイシー楽団のメンバーとの共演が実現し、一般紙でも報じられたことでも注目度が高まっていた。2部構成のステージは、節目を記念した特別プログラム。代表的なレパートリーをずらりと並べて、長い歴史を誇る楽団の足跡を浮き彫りにした。ベイシー・ナンバーをカバーするビッグ・バンドは数多いが、やはり本家が奏でるサウンドにはビッグ・ボスの魂が受け継がれていると感じる。事前情報を得ていなかった女性ヴォーカルのカーメン・ブラッドフォードが登場して、「ハウ・ドゥ・ユー・キープ・ザ・ミュージック・プレイング」を披露。バーグマン夫妻とミシェル・ルグランが書いたこの名曲を聴きながら、カーメンとパティ・オースティンの関連性を想起した。また70年代に生まれたレパートリーである「ウインド・マシーン」が個人的な収穫となった。幅広い年齢層の観客が集ったことも特筆したい。
 終演後、六本木“アルフィー”へ移動。トランペッター五十嵐一生率いる世界逸産のセカンド・セットを観るためなり。昨年ヨーロッパ関係の問い合わせを受けた関係で知り合った五十嵐のステージに接するのは、10数年ぶりだ。当時は60年代のマイルス・デイヴィス5を彷彿させるサウンドだった。困難を克服して現在も音楽活動を続ける五十嵐の、実に久々となる生鑑賞は健在ぶりを印象付けてくれて、正直に言って安心した。アップでのストレートな鳴りの良さと、スローでの繊細な表現に、確かな実力を確認。吉澤はじめ(p)+荒巻茂生(b)+本田珠也(ds)との緊密なユニット性も良好で、ぜひ早いタイミングでデビュー作を発表してほしいと思った。

邦人ベーシストのレコ発ライヴ

2010年02月08日

 日本を代表するジャズ・ベーシスト鈴木良雄(1946?)は昨年、音楽活動40周年記念作『マイ・ディア・ピアニスト』をリリース。交流のある邦人ピアニスト6名とデュオを演じたアルバム・コンセプトは、鈴木の新境地を示す仕上がりだった。今夜は同作のリリース記念コンサートを紀尾井ホールで観た。同作参加ピアニストのうち4名が集って、4曲ずつ演奏するプログラム。鈴木のレギュラー・グループでなくてはならない存在である野力奏一との演奏では、リーダー活動の年輪を滲ませた。山本剛とのデュオは経験豊富な両者の、おだやかな交流が浮き彫りに。韓国では大変な人気音楽家だというイサオササキとは、ニューエイジ的なサウンドを印象付けた。今夜のステージでおそらく最大の興味だったのが、トリを務めた秋吉敏子。今世紀に入って共演トリオ・ライヴ作をリリースしている両者は、トシコが日本人で最も信頼を寄せているベーシストが鈴木だという関係だ。トシコの代表曲「ロング・イエロー・ロード」で幕を開けたセットは、4曲中3曲がトシコのオリジナル。自身のビッグ・バンドを解散して身軽になり、ピアニストへの比重を高められる環境が、このステージでも発揮される格好となった。長年のファンと思しき鈴木と同世代のファンが多数認められて、ジャズ界を支える人々の存在も嬉しく思ったのだった。

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