Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイリー

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2012年04月04日  麻布十番、渋谷、丸の内

2012年04月04日

 「春のオーストラリア・デイ記念観桜会」に出席。ランチタイムに同大使館中庭で開催された。晴天に恵まれた会場には、約1000人もの招待客が集って大盛況。TVや雑誌で見る各界の著名人も少なくない。ぼくは大使館の担当者や「ジャズジャパン」編集長・三森氏、《東京JAZZ》八島氏と談笑。フード&ドリンクが充実しており、何とマグロ解体デモンストレーションも。会場の一角では宮嶋みぎわ(key)グループの演奏が、ゲストたちを楽しませてくれた。
 一度帰宅して、夜に再び外出。ふたつゆ@JZ Brat。バークリー音大で学んでいた宮崎友紀子(vo)と柳原由佳(p)が同地で共演を始めたのがきっかけとなり、帰国後の2011年春に正式なユニットを結成。ネーミングは2人の名前が共に「ゆ」で始まることに由来する。昨年のデビュー作を未聴のまま、初めてライヴに臨んだ。こちらは勝手に癒し系のユニットだと思っていたのだが、ブラジル音楽のユニットでも活動する宮崎はパワフルな歌唱も得意とすることがわかった。スタンダード「春の如く」、エリントン・ナンバー「A列車で行こう」、ビリー・ストレイホーン「ア・フラワー・イズ・ア・ラヴサム・シング」の他、「春よ来い」「風をあつめて」のような日本の楽曲もカヴァー。
 丸の内へ移動し、“Cotton Club”でロバータ・ガンバリーニを観る。ガンバリーニの来日公演に関しては堂々としたステージ・マナーと歌唱力には文句のつけようがないが、レパートリーが固定化の傾向があった。今夜は母国イタリアの映画音楽「ニュー・シネマ・パラダイス」や、カレン・カーペンターに捧げた「雨の日と月曜日は」といった新曲を盛り込んでくれたのが収穫。
■[2nd Set] ?Easy To Love ?In Your Own Sweet Way ?On The Sunny Side Of The Street ?Cinema Paradiso Medley ?From This Moment On ?You’ve Changed ?When Lights Are Low ?Rainy Days And Mondays ?This Masquerade ?Close To You ?Just Squeeze Me ?Estate (Encore) Fly Me To The Moon

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2012年04月05日 デュオ・アルバムの発売記念ライヴ

2012年04月05日

 3月14日にリリースされた西山瞳&安ヵ川大樹のデュオ作『エル・カント・デルス・オセルス(鳥の歌)』の記念ライヴを、池袋Apple Jumpで観た。自身のリーダー活動の他、サイドマンとしても経験豊富で多忙なベーシストである安ヵ川は、意外なことに同作が初めてのデュオ。西山とは2007年からデュオ活動を始め、ドラマーが加わった西山トリオでも共演してきた間柄だ。初めて西山と2人だけで音楽を作った時から、安ヵ川はいつかレコーディングしたいとの思いを持っていたという。アルコ・ベースの多用を作品のテーマにしたことを反映して、今夜の安ヵ川はアルコの妙技を披露。アコースティックなベースの響きに魅了された。なお同作のライナーノーツを執筆しているので、私からも宜しくお願いします。

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2012年04月08日  若手歌手のインストア・ライヴ

2012年04月08日

 2月に新作『…And You Will Find Me』をリリースし、3月に“JZ Brat”で記念ライヴを行ったRyu Mihoが、タワーレコード渋谷店ジャズ・フロアーでのインストア・ライヴに登場。先日本人からライヴ鑑賞への礼状が届いたこともあり、会場を覗いてみた。100人を超える盛況で、終演後はサインを求めるファンが長蛇の列を作った。純ジャズ・ヴォーカルではなく、ジャズとポップスの両方の要素を持つ女性歌手に人気が高まっている近年のトレンドが、Ryu Mihoにも当てはまると言っていいだろう。終演後に彼女と談笑した。

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2012年04月12日  話題の男が初のコラボ・ライヴを実現

2012年04月12日

 菊地成孔が率いるデート・コース・ペンタゴン・ロイヤル・ガーデン改めDCPRGは、先月5年ぶりのスタジオ作でインパルス第2弾となる『SECOND REPORT FROM IRON MOUNTAIN USA』をリリース。キャリア初のラッパーとの共演が話題を呼んでいる中、新作の世界観を打ち出したライヴが新木場スタジオコーストで開催された。初めて訪れた会場は意外にも自宅からのアクセスが良い。ロケーションゆえに菊地が懸念した集客は、目視で1000人超えを果たして杞憂に終わった。オープニングは菊地と菱田エイジ(g,vo)のKILLER SMELLS。泥臭い日本語歌唱の菱田が観客から声援を浴びていたのは、カルチャー・ショックに近い光景だった。菊地がジャズ・サイドへ誘導したとも言える相模原アンダーグラウンド・ヒップホップ・チームのSIMI LABは、その実力と親近感を菊地ファンにもアピール。いよいよDCPRGが登場。昨年9月の《東京JAZZ》以来となる生体験だが、2時間超のステ?ジはやはりSIMI LABとの共演が衝撃的だった。「UNCOMMON UNREMIX」で彼らが連呼する「普通って何よ?常識って何よ?」に共感。トータルで約3時間の公演に心地よい疲れを感じながら、会場を後にした。

2012年04月18日  ジャズ歌手の道を切り開いた女優

2012年04月18日

 70年代から女優業を始めた鶴田さやかは、90年代から音楽活動も並行し、近年はジャズに開眼。1月にはNYでダン・ニマー・トリオと共演したジャズ・デビュー作『君は我がすべて』を録音。今夜はその発売日に合わせたリリース・ライヴを、大手町“マンハッタン・ブルー”で観た。東京メトロの同駅に直結している新店に初めて訪れたが、とにかくアクセスの良さが抜群。ビュッフェ・スタイルの食事をいただいて、ステージを迎えた。トリオをバックに同作からのナンバーを披露。客席との距離を縮める巧みなMCに、エンタテイメントの世界でキャリアを重ねてきたからこその地力を感じた。任侠映画のスター鶴田浩二の三女は、50代に入って新たな道を切り開いたと言える。同作の詳細に関しては、現在発売中の「ジャズジャパン」Vol.21にディスク・レビューを寄稿しているので、参照してほしい。

2012年04月19日 ECMから最新作を出した欧州ユニット

2012年04月19日

 昨年4月に“ピットイン”への出演が決定していながら、東日本大震災のために中止となったフードの来日が、ようやく実現。今夜は7ヵ所で組まれたジャパン・ツアーの初日を同店で観た。フードは1998年に英国人サックス奏者イアン・バラミーをリーダー格として、ノルウェー人3名と結成された。2004年までに4タイトルをリリースした後、バラミー&トーマス・ストローネンのデュオ・チームに再編し、2007年にはマリア・カネゴールらをゲストに迎えたアルバムをリリース。2010年に登場した通算第6弾にしてECM移籍作『Quiet Inlet』は、80年代の英国発ニュー・ムーヴメントのトップ・ランナーだったバラミーが、ノルウェー新世代のストローネン(1972?)と出会い、北欧の新感覚派とのコラボレーションを通じて育んだサウンドが、さらに成熟度を増したと理解できる仕上がりだった。
ファースト・セットは同作で4曲に参加したニルス・ペッター・モルヴェルを含むトリオ。ノンストップの即興演奏は、もはやノルウェー新世代の定番と言っていいエレクトロニクスの巧みな使用を通じ、ジャズとアンビエントが融合したサウンド。バラミーがサックスを吹くパートとエレクトロニクスのオペレーションが半々に近いのが、新鮮な発見だった。セカンド・セットには招聘者でもある巻上公一が加わって、アルバムとは違う趣の展開となった。
■Iain Ballamy(ts,ss,electronics) Thomas Stronen(ds,electronics) Nils Petter Molvaer(tp,laptop) 巻上公一(vo,theremin)。

2012年04月24日  人気テナー奏者のレギュラー・カルテット

2012年04月24日

 毎年の来日クラブ公演が定例化しているエリック・アレキサンダーが、丸の内“Cotton Club”に登場。今回のレギュラー・カルテットは、同じタイミングでリリースされたジョー・ファーンズワースのリーダー作『スーパー・プライム・タイム』と同じメンバーということで、2つの視点で楽しめる趣向となった。エリックは常に堂々とした佇まいでソロを吹奏。後見人のハロルド・メイバーンがエリックの同名作のために提供した「ナイトライフ・イン・トーキョー」やスタンダード・ナンバーをカヴァー。ファーンズワースは立ち上がりこそリズムが走り気味だったが、次第に修正。フットペダルの巧みな使用と、スティックで正面からバスドラを叩くトリックーなプレイで、観客を沸かせた。
■Eric Alexander(ts) Harold Mabern (p) Nat Reeves (b) Joe Farnsworth (ds)

2012年04月27日  北欧ジャズVIPの新プロジェクト

2012年04月27日

 90年代にフューチャー・ジャズを提唱し、欧州全土へと広めてジャズに新潮流を生み出したノルウェーのブッゲ・ヴェッセルトフト。昨年夏の《オスロ・ジャズ・フェスティヴァル》がプレミア公演となった新プロジェクト“ブッゲ&フレンズ”を、ブルーノート東京で観た。バンドはオリジナルの5名に邦人2人が加わった、日本公演のための特別編成。2人とはブッゲのリーダー・バンドではなく、大阪でのトリビュート・ライヴで知り合ったという。フル・バンドによる演奏はピアノと2台の電気鍵盤を使用するブッゲが主導し、ジョー・クラウゼルが電気ビートを作りながら、アコースティックとエレクトリックが融合したサウンドを展開。ブッゲとは10年来の付き合いになるエリック・トラファズ(トリュファ)は、トランペット音を電気加工し、親和的にバンドに貢献。視覚的にも音的にもリズム面ではクラウゼルの優位性が感じられる中、演奏の流れに対して臨機応変にビートを刻んだアンドレアス・ビーの好演も特筆したい。ラスト・ナンバーとアンコールには、2009年にブッゲがデュオ・パートナーを務めたakiko(vo)がゲスト参加。終演後にブッゲと旧交を温めた。
■Bugge Wesseltoft(p,key) Erik Truffaz(tp) Ilhan Ersahin(sax) Joaquin "Joe" Claussell(beats,per) 右近雅人(b)Andreas Bye(ds) Masaharu "Pretty" Uemura(per)
akiko(vo)

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