Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイリー

« 2011年03月 | メイン | 2011年05月 »

4月前半のライヴ

2011年04月15日

 7日は平賀マリカ@六本木STB。新作のナット・キング・コール集のレコ発ライヴだったのだが、震災を受けて中止も検討されたという。ステージにはこの状況でヴォーカリストとして何ができるかを真剣に考えた平賀がいた。そのパフォーマンスは説得力に溢れ、ぼくがこれまでに観た平賀の最高の姿を体感したのだった。MCを含め、客席で安心して楽しめる邦人女性ジャズ歌手のトップである。
 10日はハクエイ・キム“トライソニーク”@六本木ビルボードライブ東京。1月にアルバム・デビューしたトリオが、ミッドタウンに初登場。当夜、最も印象的だったのは演奏とライティングが絶妙にシンクロしたステージングだった。もちろん演奏が素晴らしいとの前提があるのだが、照明が音楽の仕上がりを大きく左右することを再認識させられた。現在各方面から引っ張りだこの杉本智和(b)の好演も特筆したい。
 第3週は新宿ピットインに北欧から2組のバンドが出演予定だった。しかし震災の影響で両者共にキャンセル。13日にはオープニング・アクトの予定だった新澤健一郎3が2セットを務めた。最近特集ライヴでも取り上げているエグベルト・ジスモンチの「フレヴォ」や、エスビョルン・スヴェンソンのナンバー等を演奏した。
 15日はアルト・サミット@内幸町ホール。多田誠司+近藤和彦+太田剣のアルト3人の競演企画だ。パーカーの「オー・プリヴァーヴ」で幕を開けたステージは、多田をフィーチャーした「ワーク・ソング」、近藤をフィーチャーした「若かりし頃」と進み、それぞれの実力具合が明らかになった。

4月後半のライヴまとめ

2011年04月27日

 16日(土)はRoom56@池袋インディペンデンス。若手トランペッター高澤綾がメンバーのユニットだ。初めて訪れた同店は縦に細長い作りで、超満員。若いミュージシャンをサポートしている風の年配の女も見受けられた。演奏はピアニストがヒューマン・ビート・ボックスを兼ねるなど、純アコースティックに限らない音楽性を披露してくれた。
 18日(月)は臼庭潤4@新宿ピットイン。お目当てはピアノの松本茜だった。デビュー時からウォッチしていた松本は、大学を卒業して自分のバンドだけではなく、本クァルテットのような場所にも進出。活動のキャパシティを広げている。初体験の臼庭4での松本は、アグレッシヴなプレイでバンドに積極的に関わり、確実に音楽性を拡大中であることを印象付けた。
 20日(水)はマンハッタン・ジャズ・オーケストラ@ブルーノート東京。震災の影響で、当初予定されたミュージシャンのうち、7人が交代し、邦人4名が参加した。緊急事態に直面したリーダーのデヴィッド・マシューズは、動じることなくステージを務め、追悼曲「Inori」も披露してくれた。クリス・ハンター(as)はいつものように熱演。サポート・メンバーではポップス畑で活動する波多江健(ds)の好演が光った。
 22日(金)はアンドレ・メーマリ@田町ピアノフォルティ・ショールーム。ブラジルの若手ピアニストが個人名義で初来日。3回のジャパン・ツアーの合間に当たるこの日、関係者向けのライヴが開催された。ちょうど34歳の誕生日だったメーマリは、ジョビン曲や「ふるさと?黒いオルフェ?荒城の月」等を演奏。CDでの印象と違わぬスキルを体感させてくれた。
 23日(土)はピアノ・キューブ@かつしかシンフォニーヒルズ。アキコ・グレース+ピアニスターHIROSHI+谷真人のピアニスト3名によるユニットだ。ジャズ、ポップス、クラシックとメインのジャンルが異なる彼らゆえの、ハプニングとブレンドが見どころ。進行役を担ったHIROSHIの巧みなMCが、このプロジェクトの要と聴いた。グレースが活動のキャパシティを広げている点でも、このユニットは続けてほしい。
 27日(水)はジョン・ディ・マルティーノ@赤坂B flat。日本ではロマンティック・ジャズ・トリオのピアニストとして知名度を得ている。今回は日本在住者とトリオを編成し、ウイリアムス浩子(vo)をフィーチャー。特に日本側に収穫の多いプロジェクトとなった。

NEWENTRY

ARCHIVE

BLOGS

CONTACT

株式会社セブンオークス・パブリシング

セブンオークスへのお問い合わせを受け付けております。
メール:hachi@7oaks.co.jp
住所:〒134-0081 東京都江戸川区北葛西2-10-8map
Phone:03-3675-8390
Fax:03-3675-8380