Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイリー

コングスベルク・ジャズ祭2日目

2011年07月07日

 午前は自分を含めてノルウェー音楽輸出協会が主催する「Silver City Sounds 2011」に招かれた関係者が集って自己紹介。続いて若手女性サックス奏者フレイ・オーグレとノルウェー・ジャズフォーラムによる質疑応答。ホテル・ロビーでオーグレ・トリオによるショーケース・ライヴも行われた。
 ホテルは静かな森林地にあり、会場まではバスで約20分。今日最初に観たのはアンドレア・リディン・ベルゲ(vo)。サックス3人+ベースとの5人編成。ベルゲは声が美しくて力強く、SSW的な資質とバックのジャズ・サウンドが調和していた。会場のリトル・エクストラは小ぢんまりとした小さなステージの野外空間で、涼しさが音楽を心地よく響かせた。終演後、教会前広場へと移動。8年前に来た時、ここはまだ工事中だった。現在は2つのステージが設けられ、来場者は屋台の飲食物をいただきながら無料ライヴを楽しむことができる。
 午後5:00からは教会でジョシュア・レッドマン(ts,ss)&ブラッド・メルドー(p)。現在欧米をツアー中の彼らは、元々ジョシュア・グループにメルドーが在籍していたという関係で、共にビッグネームになっている今、デュオで活動することは、昔と違う意味と意義を打ち出す目的があるはず。「ハイウェイ・ライダー」で始まったステージは、2人のオリジナルとスタンダードで進行。ジョシュアがエモーショナルなブロウを繰り出せば、メルドーは説得力に溢れたプレイで魅力を再認識させる。「シェリル」や「エアジン」のようなバップ?ハードバップ曲にジョシュアの矜持が強く表れていた。このデュオは来日予定がないので、貴重な収穫となった。
 7:15からのBMXはテナー+ギター+ドラムスの若手トリオで、今日はヴェテランのペル・ヨルゲンセン(tp)が加わった4人編成。60年代のオーネット・コールマンを想起させるナンバーで始まり、やがてヘヴィで現代的なサウンドへと展開。ビル・フリゼールからジョン・マクラフリンまでカヴァーするトーマス・ダールがバンドの中心を担う、超世代ユニットだった。10:30からのマリア・カネゴール3+2は女性歌手とヴァイオリンがゲストで参加。ほぼ全編ヴォーカルがフューチャーされたことで、以前観たカネゴール3とは別の、つまりソングライターとしての魅力が浮き彫りになった。歌詞は日常生活を描いた内容が多いと感じた。深夜0:00からはホーバル・ステューベ(g)。ノルウェーとスウェーデンの合体クインテットで、クヌート・リースネスとヨナス・カルハマーのWサックスと、カルハマー&セッテベリのMMPチームの2点が見どころと予想。グループ最年長のヴェテランであるリースネスが、若いメンバーに負けないくらいの存在感を示したのが収穫。今朝ホテルで初対面の挨拶をしたカルハマーは意外に物静かな人物だったが、演奏が始まるとCDで聴いていたのと同様、アグレッシヴに攻め立てた。4ビートを基調にしたメインストリーム・ジャズが若い観客から声援を浴びていた光景に、この国の健全で多様なジャズ文化の一面を見た。

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