Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイリー

邦人トリオの新作記念ライヴ

2011年01月05日

 井上ゆかりが加藤真一+藤井摂とのトリオを結成して4年。3年ぶりの新作『MURASAKI』のリリース記念ライヴを、渋谷JZ Bratで観た。過去に井上がヴォーカリストを助演したライヴは観た経験があるのだが、井上リーダーは今夜が初めて。ファースト・セットではスタンダードの「ユーアー・マイ・エヴリシング」で、山本剛やエロール・ガーナーを想起させる古典的な奏法が認められ、これが井上のスタイルの1つだと判断。ミシェル・ルグラン作の美旋律曲「ハウ・ドゥ・ユー・キープ・ザ・ミュージック・プレイング」、醤油の符丁を曲名とアルバム名にした、和テイストで激しい場面がある「MURASAKI」と、プログラムの進行につれ、冒頭での印象が変化した。セカンド・セットではピアノの師である故鈴木宏昌が晩年のアルバムに入れたことで、自分でも今回どうしても収録したかったという「サマー・ナイト」、名曲の断片を引用した「サム・アザー・タイム」、ジョビンの「トリステ」、ドボルザーク「新世界」と多彩な選曲。またピアノ&ドラムスやピアノ&ベースのデュオ曲も演じ、オーソドックスなスタイルの域にとどまるものではないことが明らかになった。しかし曲の出自は異なっていても、グリッサンドの多用によるアドリブで楽曲を展開する手法が、井上の大きな特徴であることは間違いない。

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