Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイリー

清涼感のある女性歌手が2度目の来日

2011年01月06日

 エリン・ボーディーを丸の内Cotton Clubで観た。2001年に自主制作盤でアルバム・デビューを果たし、ヴォーカルの秀作が多いMax Jazzを経て、通算6枚目の『フォトグラフ』を昨秋リリースしたタイミングでの来日公演だ。3リズム+管楽器の4人編成バンドを従えたステージ。マイクスタンドに固定したマイクに向かって歌うイメージだったのだが、エリンは全編でマイクを持ちながらの歌唱だった。その姿勢は歌詞に自分の感情を乗せるポリシーの反映だと聴いた。ローズマリー・クルーニー主演映画曲「カウンティング・マイ・ブレッシング」は、単にノスタルジックさを表現するのが目的ではなく、バスクラリネットやリズム・アレンジで現代性を盛り込む。「グレイスランド」が作曲者ポール・サイモンではなく、ジョニ・ミッチェルの楽曲のように響いたのも、意図的なアレンジとサウンドゆえだ。特筆すべきはマルチ・プレイヤーたちの貢献ぶり。作曲家を含め、エリンと8年間のパートナーシップを築いているピアノのアダム・マネスが、メロディカ、ギター、バックヴォーカルも兼任。新作のレコーディング・メンバーではないが、すでにソロ・アーティストとしての名声を獲得しているジョン・エリスは、テナー、バスクラ、フルートに加え、キーボードでもサポート。ヴォーカリスト+バンドではなく、5人が1つのユニットとしてプレイした点に好感を抱いた。オリジナル曲を中心としたプログラムにあって、アンコールの「春の如く」では王道ジャズ・ヴォーカリストとしての実力が明らかに。同時にバンドのジャズ力が高いレヴェルにあることもわかって収穫だった。

NEWENTRY

ARCHIVE

BLOGS

CONTACT

株式会社セブンオークス・パブリシング

セブンオークスへのお問い合わせを受け付けております。
メール:hachi@7oaks.co.jp
住所:〒134-0081 東京都江戸川区北葛西2-10-8map
Phone:03-3675-8390
Fax:03-3675-8380