Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイリー

天才ギタリストの執念を体感

2010年06月11日

 新春にリリースされたパット・メセニーの『オーケストリオン』は、すべての楽器を同期させたPMGのワンマン・プレイと言うべき音作りが、世界中の人々を驚かせた。それと同時にファンの間で賛否両論が巻き起こったのも事実だ。今夜は「すみだトリフォニーホール」2デイズの初日。同作の世界がライヴでどのように再現されるのか、に注目していた。オープニングはギター独奏で代表曲をメドレーでプレイ。コンパクトに自身の歴史を聴かせるという意図なのだろうか。そしてステージ後方に覆われていた布が取り払われると、目にも鮮やかな楽器群が明らかになって、観客はヤンヤの歓声。さらに演奏は続き、今夜のステージが休憩なしだとわかった。開演から2時間が過ぎて、パットがオーケストリオン・システムの解説をし始める。もうこの時点でパットと我々客席のファンは、同じレベルでの音楽オタクの感覚を共有していた。アンコールは「ストレンジャー・イン・タウン」。アルバムに否定的な意見を述べたリスナーも、このパフォーマンスを観れば前言撤回となるに違いない。音楽創作に前人未到の執念を燃やすパットの姿勢に共感した、感動的なステージだった。

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