Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイリー

若者から絶大な支持を得るカリスマ・ギタリスト

2010年03月14日

 カート・ローゼンウィンケルの今回の来日ツアーは、ほとんどがソールド・アウトだと聞いていた。以前の来日公演がそうではなかったことと合わせて、何故今回人気が沸騰したのか。その疑問の答えを得る目的を抱きながら、新宿「ピットイン」に向かった。開演15分前に入店すると、すでに立ち見の場所を確保するのも大変な集客状況。若者が多い。中には大学生と思しきピットイン初心者も散見され、カートのリアルな人気ぶりを目視する。ファースト・セットのプログラムは「ルビー・マイ・ディア」「インヴィテーション」「ライク・ソニー」「シェリル」と、スタンダード・ナンバー中心だった。カートの演奏は生真面目な性格が垣間見れるもの。ギター+ベース+ドラムスの基本編成は昨年発表作『リフレクションズ』と同一。しかし内容は異なっていた。バラードでは心地よすぎる音空間を現出し、それはこの満員電車状態とはかけ離れていたほど。聴き進めるにしたがって思ったのはレコーディング・メンバーと違うことが、このライヴ・サウンドのオーソドックスな印象の理由だということだった。ロドニー・グリーン(ds)は近年の米黒人の代表的なテクニシャンと認知されていると思うし、ぼく自身も同じ認識だった。ところが近作と同じ編成のトリオであるにもかかわらず印象が異なったのは、アルバム参加ドラマーのエリック・ハーランドとグリーンのスタイルの違いに起因することがわかったから。もちろんクオリティの高いステージだったが、もう一歩踏み込んだ時に、新たなテーマが生じたことを明らかにしておきたい。演奏の素晴らしさとは別に、ドラマー問題を再考させられるステージとなった。

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