Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイリー

老舗ビッグ・バンドの記念コンサート

2010年02月10日

 カウント・ベイシー・オーケストラといえば、デューク・エリントン・オーケストラと並ぶジャズ界の名門楽団。1984年に偉大なリーダーが他界した後も、同楽団関係者が引き継いでバンドの灯を絶やさずにいる。現在はOBでトロンボーン奏者のビル・ヒューズがリーダーを務める。今夜は結成75周年を迎えたベイシー楽団をサントリーホールで観た。日本滞在中にビッグ・バンド・コンテストで受賞した小学生バンドとベイシー楽団のメンバーとの共演が実現し、一般紙でも報じられたことでも注目度が高まっていた。2部構成のステージは、節目を記念した特別プログラム。代表的なレパートリーをずらりと並べて、長い歴史を誇る楽団の足跡を浮き彫りにした。ベイシー・ナンバーをカバーするビッグ・バンドは数多いが、やはり本家が奏でるサウンドにはビッグ・ボスの魂が受け継がれていると感じる。事前情報を得ていなかった女性ヴォーカルのカーメン・ブラッドフォードが登場して、「ハウ・ドゥ・ユー・キープ・ザ・ミュージック・プレイング」を披露。バーグマン夫妻とミシェル・ルグランが書いたこの名曲を聴きながら、カーメンとパティ・オースティンの関連性を想起した。また70年代に生まれたレパートリーである「ウインド・マシーン」が個人的な収穫となった。幅広い年齢層の観客が集ったことも特筆したい。
 終演後、六本木“アルフィー”へ移動。トランペッター五十嵐一生率いる世界逸産のセカンド・セットを観るためなり。昨年ヨーロッパ関係の問い合わせを受けた関係で知り合った五十嵐のステージに接するのは、10数年ぶりだ。当時は60年代のマイルス・デイヴィス5を彷彿させるサウンドだった。困難を克服して現在も音楽活動を続ける五十嵐の、実に久々となる生鑑賞は健在ぶりを印象付けてくれて、正直に言って安心した。アップでのストレートな鳴りの良さと、スローでの繊細な表現に、確かな実力を確認。吉澤はじめ(p)+荒巻茂生(b)+本田珠也(ds)との緊密なユニット性も良好で、ぜひ早いタイミングでデビュー作を発表してほしいと思った。

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