Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイリー

ショールームでのソロ・コンサート

2010年01月31日

 西山瞳はトリオを主軸に、様々な編成/共演者とのライヴ活動を意欲的に展開している個性的なピアニストだ。今日はぼくにとって初めてとなる西山のソロ・コンサートを観た。会場は田町のFazioliショールーム。エンリコ・ピエラヌンツィを始め、数多くの著名アーティストが贔屓にするピアノ・メーカーだ。同社が誇る最大サイズのピアノを管理しているため、その名器を使用するファン垂涎のコンサートが企画されたわけである。開演が午後2:00ということで、昼下がりのサロン・コンサートの趣もあった。ピアノ・サウンドの美しさを観客に味わってもらう、との趣旨は、会場に集った全員が1曲目からすぐに共有できた。年間120本のライヴを観ているぼくでも、マイク無しでピアノを聴くチャンスは数えるほど。その意味でこれはかなり贅沢なセッティングだと肌で感じた。今世紀に入って若手人材がさらに豊富になっている邦人女性ピアニスト界にあって、西山瞳は他に類例を見ない独自の個性を輝かせている。最良の楽器を得たステージは満を持したパフォーマンスで、クラブ出演も熱心にチェックする常連ファン以外の来場者にも訴求力大だった。「スプリング・キャン・リアリー・ハング・ユー・アップ・ザ・モスト」や「ムーン・リヴァー」のような歌物スタンダードを、予定調和ではなくアレンジする手法とセンスに西山の魅力を再発見。ピエラヌンツィ曲「ドント・フォーゲット・ザ・ポエト」は、メジャー・デビュー前から巨匠を徹底研究した成果と、ステージ・アップした現在が重なり、感慨深く聴いた。今後の定期シリーズを希望したい。終演後にハービー・ハンコックのサイン付きの名器を撮影。

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