Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイリー

夢のようなクリスマス特別公演

2009年12月24日

 今年世界規模で最も活躍した邦人アーティストが上原ひろみだ。初のソロ・ピアノ・アルバム『プレイス・トゥ・ビー』の記念コンサートで、東京国際フォーラムホールCに詰め掛けた観客を熱狂させたばかりの上原が、クリスマス・イヴに特別なコンサートを企画してくれた。新日本フィルハーモニー交響楽団との共演である。デビュー作をリリースした直後にインタヴューした時、「いつかオーケストラと共演したい」と言っていた上原は、その後着実に研鑽を重ねて、このジャンルの編曲家としてのスキルをアップさせた。新旧のオリジナル曲をオーケストラ用にアレンジしたステージは、上原にとってキャリア初の試みとなる。第1部のオープニングとなった「ブレイン・トレーニング」から、早くも上原らしい元気一杯のピアノが躍動する。オーケストラにスケール・アップしたサウンドが、カタルシスをもたらし、これ1曲だけで今夜のステージの成功を確信。コントラバスのピチカートがパット・メセニー・グループを想起させる「リヴァース」のアレンジに、上原の新たな魅力を発見。ピアノ独奏で始まり、やがてオーケストラが加わったスタンダード曲「ゴールデン・イヤリングス」では、ストリングス・セクションが「グリーン・ティー・ファーム」のメロディを乗せて、ファンの琴線に触れる。第2部に進むと、ピアノ+オーボエ+ストリングスで美旋律を際立たせた「プレイス・トゥ・ビー」と2曲のピアノ独奏を経て、エンディングへ。14年前に作曲し、今夜が世界初演となる「ステップ・フォーワード」は3楽章構成。子供の頃からの夢が最高の形で実現した瞬間であった。アンコールに応えて再登場した上原は、何とサンタクロース姿。これにはファンが大喜びだ。「サンタが街にやってくる」を皮切りとしたメドレーでは、オーケストラの「ホワイト・クリスマス」も加わって、この編成ならではの魅力を体感させてくれた。その後もさらに3曲のアンコールに応えてくれた上原ひろみ。終演後に大役を見事に演じきった本人を祝った。

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