Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイリー

クラブ・ミュージックの仕掛け人が来日

2009年12月17日

 新世紀に入って、イタリアを中心に巻き起こった“ヨーロピアン・ニュー・ジャズ”と呼ばれるムーヴメント。その仕掛け人としてヒット作を生んできたプロデューサー/DJ/ギタリストがニコラ・コンテだ。先頃、未発表音源を含む2枚組精選集『モダン・サウンド・オブ・ニコラ・コンテ』をリリースした好タイミングで来日。「ブルーノート東京」でのステージを観た。コンテがイメージするサウンドを形にするために選ばれたメンバーは、イタリアとフィンランドの斯界の人気アーティスト。イタリアの旗頭であるハイ・ファイヴのトランペッター、ファブリッツィオ・ボッソと、フィンランドの若きビート・マスターであるドラマーのテッポ・マキネンが、同じバンド・メンバーとしてステージに立っている光景は、このジャンルを知る者として感慨深い。コンテのオリジナルに混ざって、オリヴァー・ネルソン「ストールン・モーメンツ」等のジャズ・ナンバーも選曲したのが要注目だった。ハービー・ハンコックの「処女航海」では、オリジナル・ヴァージョンのトランペッターであるフレディ・ハバードを想起させるボッソのソロが光った。終盤の「キャラヴァン」ではマキネンが実力者ぶりを発揮。ギタリストとしては決してテクニシャンではないコンテは、サウンド・コンセプトと適材適所の人材起用術に長けたクリエイターだと納得できた。ニコラ・コンテ・ジャズ・コンボの立役者が疑いなくマキネンだと指摘しておきたい。

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