新進女性ヴォーカリストのクラブ・ライヴ
昨日カナダから帰国した。今日はさっそく日常的なペースに戻ってのライヴ鑑賞。北川真美(まさみ)を「代々木NARU」で観る。大阪を拠点に活動する北川は、清水ひろみに師事し、昨年デビュー作『クローズ・ユア・アイズ』をリリース。今夜が東京でのデビュー・ステージである。3月に清水が同店に出演した時、北川も来店していて、その時に挨拶をしていた。実は同デビュー作を事前に聴いていない状態で、ライヴに接する形となった。これは自分の行動としては珍しいことだ。予備知識のない状態で臨んだステージの第一印象は、声の美しさだった。北川が敬愛するペギー・リーのレパートリーやスタンダード・ナンバーを歌う姿は、プロ・キャリアが豊富ではないにもかかわらず、落ち着いたもの。聴き手が安心してその空間に身を任せられる点で、北川は基本条件をクリアしていた。邦人ヴォーカリストには、プロであってもこの部分を習得できていない者も散見できるだけに、魅力的な新人を発見した思いが嬉しさを呼び込んだ。今夜の伴奏者はピアノ&ベースで、『クローズ?』はピアノ+ベース+ギター。どちらもドラムスが不在で、普段のライヴでも同様なようである。この編成が自分の音楽性に合致しているとの考えが理由なのだろう。この安定感のある歌唱力を、通常のピアノ・トリオやギター、サックス入りの編成でも聴いてみたいと思った。今回をきっかけに、東京での露出を増やしてほしい新星である。