ノルウェーの前衛トリオが初来日
2003年以降、ノルウェーのジャズ・ミュージシャンの来日公演が、年々盛んになっている。北欧4カ国にあって、この国が最も先鋭的で人材の層が厚いことは、今や広く知られるところだ。今夜は同国のベテラン・ピアニスト=ステン・サンデル率いるトリオ公演を新宿ピットインで観た。今回の来日は「ポリトーナル・リズミック・トータル・ミュージック」を標榜したエレクトリック・プロジェクトと、今夜のアコースティック・プロジェクトの2本立てで、サンデルの二面性を浮き彫りにすることが企図された。前日の公演は未見だったが、ここでのアコースティック・セットもオーソドックスなスタイルになる理由はなかった。ピアノ弦の上にタオルを置いて、低音域のミュート効果を生みながらエネルギッシュな即興演奏を展開する。エレクトロ・アコースティック・ユニット、テープのベーシスト=ヨハン・バットリングはアップライト・ベースで完奏。
今やピットインのハウス・ドラマー(?)の異名を取るポール・ニルセン・ラヴは毎度感じるように、疲れを知らない演奏でトリオを支えた。リニューアルしたピットインのピアノは、サンデルの印象をアップすることに大きく貢献したのだった。