新進邦人ジャズ・シンガーが丸の内に初登場
グレース・マーヤ@Cotton Club。非常に層が厚い邦人女性ジャズ・ヴォーカル界にあって、2006年にアルバム・デビューしたグレース・マーヤはドイツでの生活が長かったこともあって、英語が堪能。語学の壁を越えるのがヴォーカリストにとっての最初の必須であることを考えれば、マーヤはすでに高いアドヴァンテージを得ていることになる。今夜はボサノヴァをテーマにした新作『イパネマの娘』のリリース記念ライヴ。内外の著名アーティストが毎日出演するクラブでの初登場、というプレッシャーを感じさせないほど、グレースはパフォーマンス、MC共に落ち着いていた。それもそのはずだったのは、彼女のサポート・メンバーが経験豊かな面々だったからだ。峰厚介(ts)、安ヵ川大樹(b)の存在は頼もしい。 そこに荻原亮(g)がフレッシュな空気を送り込んだ。急遽代役で起用されたドラムスが大槻カルタだったのは、マーヤにとって幸いだったと思う。純粋な日本人なのにそうとは思えない容姿とピアノ弾き語りは、頼もしいミュージシャンの助演を得て、さらに輝いていた。ステージ・マナーをチェックし、日本人若手女性ヴォーカリストで屈指の1人であることを確認した夜となった。