「ブラジルから来た新感覚アーティスト」
ブラジル北東部ノルデスチを代表するアーティストで、2004年日本公開映画「モロ・ノ・ブラジル」で知名度を高めたシンガー=シルベリオ・ペソーアのグループを、六本木ヒルズアリーナで観た。六本木ヒルズにはこれまで何度も訪れているが、テレビ朝日前の広場に設けられた屋根付きのオープン会場である同アリーナには、今回初めて足を踏み入れた。ブラジル産ビールを買って、開演前から気分を盛り上げる。舞台はトロピカルな雰囲気を醸し出しており、夏を先取り、といった感じだ。
18:30過ぎにメンバーが登場すると、すぐにお祭りムードでステージが進行。初来日のペソーアは今夜が初体験だったのだが、魅力的な声を持つヴォーカリストであることはすぐにわかった。ヴォーカルだけでなくエフェクターも操作して会場を盛り上げる。バック・バンドはアコーディオン、バンジョー、パーカッション、エレクトリック・ベースなど伝統楽器と現代楽器が混ざった編成。それは彼らの音楽性にも反映されていて、ブラジルの伝統的な要素と、エレクトロニクス、ドラムンベースといった現代的な要素が融合したサウンドが展開された。
ブラジルといえばサンパウロとリオ・デ・ジャネイロが有名だが、ペソーア自身は両者とは異なる地元の特性を打ち出していると主張し、音楽家としてのプライドを示した ステージの終盤、例によって観客に歌唱指導すると、ほとんどペソーアの指導通りに観客が反応したので本人がビックリの表情。「日本人は大人しい」という事前情報とのギャップを感じたか。そんな表情も含めて、ぼくは初対面のペソーアに好印象を抱いた。場内は大盛り上がりの1時間半であった。