シリーズ・コンサートを締めた異色のデュオ
「ランデブー・イン・トーキョー」と題したチック・コリアの「ブルーノート東京」連続公演。その3組目は今年アルバムをリリースしたベラ・フレックとのデュオだ。バンジョー界に革命をもたらしたフレックは、フレクトーンズのリーダーとしてグラミー賞を受賞しているアメリカでのVIPミュージシャン。しかし日本ではまだまだアンダーレイテッドなのが、ファンにはジレンマのようである。今夜は上原ひろみとのデュオやチック・トリオほどの集客ではなかったのが、フレックの日本でのポジションを物語っていたが、客席にいたぼくとしては程よい空間だと感じて幸いだった。ジャズとブルーグラスというジャンルを超えて信頼関係を築いたビッグ・ネームの2人が、好きな音楽を演奏するという趣味的な色合いが浮き彫りになり、客席の音楽ファンにもたちまち共感が広がった。演奏が終わった後、ほのぼのとしたムードに包まれたのは、BNTでこのプログラムを実現させた意義として記憶したい。