Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー

セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。

ベテラン・ドラマーの新作記念コンサート

2007年10月20日

 新作『ニュー・ディール』リリース記念として大隈寿男が「草月ホール」でリサイタルを行った。いわゆる「レコ発ライヴ」はよく開催されるが、今回のコンサートは少々趣が異なっていた。客席に足を踏み入れると、年齢層が高い。ジャズ・ファンという外見でもない人々が少なくない。マダム、女将系の女性が多数。ファースト・セットはレコーディング・メンバーを中心としたメンバーによる“若手クインテット”。フロントの2管に同じ楽器の近藤和彦と太田剣のアルトサックス2人を配したことに関して、大隈はMCで「本人たちに無理を言ってお願いした」と説明したが、音楽的理由は明かされなかった。それを演奏を聴きながら読み解いてみると、ハードバップに音楽性の基盤を置く大隈が,50年代のアメリカの2アルトズをモデルとして、自己のバンドを編成したことが想像できる仮説に行き当たった。フィル&クイルがそのモデルなのだろうが、演奏を聴くとそうでもないようだ。このバンドでは“ニュー・カマー”だったピアノのハクエイ・キムが健闘。セカンド・セットになるとトリオのピアノが納谷嘉彦、ベースが井上陽介にチェンジし、ステージの雰囲気がアダルティーに。レーベル・メイトの女性ヴォーカリスト=安富祖貴子が登場すると、ぐっと華やいで、「ワーク・ソング」を熱唱。さらに後半に進むとバンドによるダウンタウン・ブギウギ・バンドの名曲のリフに乗って、宇崎竜童が登場。大隈と宇崎は明治大学の後輩/先輩の関係で、後輩の大隈が宇崎に何度も共演のラヴ・コールを送っていて、今回それが実現したということだ。宇崎はロック/ポップス畑のミュージシャンだが、ジャズ・ステージにも即座に対応できたのはキャリアのなせる業だと思った。<横須賀ブルース>でも宇崎のジャジーなステージ・マナーに感嘆。アンコールのラストでは「ウォーターメロン・マン」で大団円となった。

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