Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー

セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。

3年ぶりのソロ・コンサート第2夜

2008年05月23日

 先週の土曜日に続くキース・ジャレット東京公演@池袋・東京芸術劇場。先週のステージでは予想通りと言うか、マナーをわきまえない観客に起因するアクシデントが発生した。今日こそはそのようなことがないようにと願いつつ着席。ファースト・セットはアブストラクトなサウンドで始まり、テンポ・アップした後、急に場面転換してスロー・テンポへと進んだ。これは先週と同じような展開と言っていい。違っていたのは前回が観客の度重なる咳によって集中力の途切れたキースが、演奏を止めてしまったこと。今日の1曲目は37分間の連続演奏となった。これこそがキースの意図したものだったのだろう。7分間のブルースが続き、ファースト・セットは終了。セカンド・セットは即興の3曲。キース・ソロの重要な要素である「祈り」の美旋律が印象的だった。さてファンお楽しみのアンコール。1曲目はアップ・テンポのバピッシュなナンバー(曲名不詳)。思案して始めた2曲目は「マイ・ワイルド・アイリッシュ・ローズ」。90年代末の療養中にキースが自宅スタジオで吹き込んだ『メロディ・アット・ナイト、ウィズ・ユー』収録曲である。ところが演奏からほどなく「sorry」と言って中断。キーが違っていたということだったのだが、この光景、先週のオーチャードホールでも観た。観客を和ませるための持ちネタだったとは。そして3曲目のアンコールに応えてキースが選んだのは「イージー・リヴィング」。キースの音楽家人生は決して平坦な道のりではなかった。そんなキースが今、ソロでこの曲を演奏している。2曲目の笑いを誘うアクションを含めて、余裕があるということなのだろうか。かつてないアンコールの選曲に、深い感銘を受けた。

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