Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
南青山での思わぬプラス連鎖
2008年06月27日
正午からレコード会社で打ち合わせ。新しく取り扱うことになった海外レーベルの監修者となったことによる、説明会を兼ねたものだった。社員さん全員を前にぼくがプレゼンするような格好になったのだが、フリーランス歴が10年になるぼくとしては新鮮。社外ブレーンの仕事は他社でもやっていて、このような形で関わることができるのは額面の仕事を超えて楽しい。その後、赤坂へ異動してランチ。夜は割烹料理屋の昼営業はリーズナブルで、満足度が高かった。当初の予定では赤坂の喫茶店で仕事をして、18:00に南青山へ行くつもりだった。しかし急にタワーレコードへ行きたくなり、渋谷へGO。ジャズ・フロアーではジョン・マクラフリンとフレディ・ハバードの新譜と、500円のクリアランス・コーナーで3枚をゲット。勘が当たったのが嬉しい。このような収穫はオンラインストアでは得られないものであり、やはり音楽好きとしては常に研ぎ澄ませておきたい感覚である。タワー滞在中、ピアニストのタミール・ヘンデルマンから携帯に電話があった。タミールとは5月末にインタビューで会い、名刺交換をしていた。今回ナタリー・コールと共に来日していたことは知っていたが、電話は同公演に招待できるとの用件だった。そこで急遽予定を変更し、18:00に南青山TIME&STYLES EXISTENCEへ。デザイナー、ジャン=マリー・マソーの新作発表を記念したオープニング・レセプションだ。剣道の面をヒントに制作した椅子である。シャンパンをいただきながら、店内の新しいデザインを楽しんだ。ブルーノート東京がTSEから至近だったのは、何と言う幸運だろうか。ナタリー・コール公演はソールドアウトの大盛況。ぼくはレジ付近の補助椅子で鑑賞。腰痛のため車椅子姿でステージを務めたナタリーは、最悪のコンディションながらもプロ魂を見せ付けた。ナット・キング・コールの映像とのヴァーチャル・デュオ曲「アンフォゲッタブル」は、まさにハイライトとなった。堪え切れず涙したのはぼくだけではあるまい。次回は万全の状態で、新たな感動を与えてほしいと思った。