Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー

セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。

くりくら音楽会最終夜など

2008年05月22日

 3ヶ月連続で開催の「ピアノ大作戦」@門仲天井ホール。その最終回となる今夜はピアニスト+管楽器奏者が2組出演するステージとなった。ファースト・セットは西山瞳(p)&井上淑彦(ts,ss)。以前からチームを組んでいる2人のパフォーマンスを観るのは、今夜が初めてということもあって楽しみにしていた。演奏は両者の真面目で真摯な人柄が反映された内容となった。個人的には西山トリオで親しんでいたレパートリーが、サックスとのデュオによって新しい表情を見せてくれたのが収穫。自作曲における西山の表現力の幅広さを興味深く聴いた。セカンド・セットは新澤健一郎(p)&太田朱美(fl)デュオ。フュージョンからアコースティックまで守備範囲が幅広い新澤と、今春アルバム・デビューした太田はフレッシュな組み合わせだ。それぞれの自作曲を主体に構成したプログラムは、変幻自在で懐の深い新澤と、自身の役割に誠実に向かった太田のコンビネーションが相乗効果を表出。キメ事の多い楽曲で、個人技を出しながらダイナミックに共鳴したのは見事だった。個人的に嬉しかったのは、エグベルト・ジスモンチ曲「フレヴォ」。この難曲を取り上げ、デュオとして成立させた2人に拍手を送りたい。昨年のジスモンチのコンサートも観たぼくとしては、次回はぜひ同曲収録作『サンフォーナ』からの「ロロ」をリクエストしたい。それにしてもフルート専門でプロ・キャリアをスタートさせた太田の高いスキルは、目をみはるものがある。
 丸の内へ移動し「Cotton Club」へ。フィンランドのチューブ・ファクトリー公演のセカンド・セットを観る。彼らは2年前に「ピットイン」で観ているが、同国のジャズ・ミュージシャンがこのクラブに出演するのはそれほど頻繁ではないだけに、個人的に嬉しいことだ。ステージはリーダー=ペッカ・ピルカネン(as)率いるカルテットの、ストレート・アヘッドなアコースティック・サウンドが展開された。ラスト・ナンバー「ア・クライ・フォー・アフリカ」では60年代のジョン・コルトレーン・カルテットを想起させるモーダルな演奏を披露。同国のジャズ・シーンの一端を伝えた。終演後ピアノのサムリ・ミッコネンと談笑。約3週間のジャパン・ツアーを組んだのがペッカ本人だと知って驚いた。繰り返すようだが、CDセールスとライヴ集客が並行して上昇傾向となるサポート・ワークにも尽力していきたいと思う。

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