Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
新感覚のピアノ・トリオが丸の内に登場
2007年10月19日
フィリップ・セス・トリオ@コットン・クラブ。パリで生まれ、アメリカに移住して30年近くになるピアノ&キーボード奏者は、フュージョン界で名を高め、近年はトリオ作を連発して新しい評価を得ている。今夜はトリオにとって初登場となる会場でのステージだ。セスのレギュラー・メンバーはデヴィッド・フィンク(b)+スクーター・ワーナー(ds)なのだが、スケジュールの関係でベーシストを務めたのがクリス・ミン・ドーキー。クリスはコンパクトなヤマハ製アップライト・ベースの使用者ということで、日本との関係が深い。セス・トリオに初めて加わったわけだが、演奏はスムーズだった。 「オール・ザ・シングス・ユー・アー」ではドラムンベース・アレンジで現代性を表出。ピアノとキーボードを同時に演奏する技を駆使しながら、ベテランの存在感を発揮した。中盤には思いがけずアルトサックスの伊東たけしが登場。約20年前に共演したことがきっかけの2人が、旧交を温めるステージは好ましく映った。伊東の若々しさも驚くべきことかもしれない。ワーナーのバスドラのキック力も特筆したい。