Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
JazzToday第2夜
2007年10月16日
六本木“スイートベイジルSTB139”での2日目は、「Big Cool Sound of JazzToday」と題して、ベーシストの水谷浩章がオーガナイズする2つのバンドが出演した。ファースト・セットは新進フルーティスト太田朱美が来春リリースするデビュー作の参加メンバーと、水谷率いるフォノライト・アンサンブルが合体した12人編成のラージ・アンサンブルが演奏。邦人女性ジャズ・フルーティストでは小宅珠美、赤木リエ、小島のり子が活躍するが、まだまだ層が厚いとは言えない中で、太田がジャズ界に登場したのは歓迎すべきことだと思う。リズム隊+金・木管5本+2チェロは大人数でありながら、スモール・コンボによる室内楽的な趣も醸し出した。太田のプレイは噂に違わぬ若き実力者ぶりを印象づけたのが収穫。本年度「スイングジャーナル」読者投票の木管楽器部門で15位にエントリーしている。アメリカの博物館で体験したことを創作モチーフとした組曲が、なかなかの聴きものだった。セカンド・セットはファーストの一部メンバーが入れ替わったフォノライトが出演。リーダー第2弾が控えるフルートのMiyaと太田のペアーと、チェリスト2人の女性陣がステージを華やげた。ロン・カーター作曲の「RJ」と先頃他界したジョー・ザビヌルへのオマージュ曲「イン・ア・サイレント・ウエイ」は、水谷が意図したのものではないのかもしれないが、期せずしてマイルス・デイヴィス関連曲が揃う格好に。ベテラン・ギタリスト中牟礼貞則の好助演も特筆したい。