Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
スウェーデンを代表するビッグ・バンドが来日
2008年10月23日
ヨーロッパ各国が質の高いビッグ・バンドを擁し、それが広く欧州ジャズ界のレベル・アップにつながっていることは、今や斯界の常識となっている。今夜は日本でDVD作品がリリースされているスウェーデンのボーヒュースレン・ビッグ・バンドを、赤坂Bbで観た。スカンジナビア・コネクションを主宰するイェーテボリ在住のベーシスト、森泰人がブッキング。ただでさえ人数が多いバンドを日本に連れてくるのは、経費等を考えるとたやすい事業ではないわけだが、近年のビッグ・バンド人気が追い風になったのかもしれない。
今回のステージは2本立ての構成となった。世界的に活躍した同国のポップ・グループ=ABBAのカバー・プロジェクトやザ・クルセイダーズの来日公演で、日本でも知名度が広がっているニルス・ラングレン(tb)が音楽監督を務め、若手ヴォーカリスト=ジャッキーが華を添える趣向だ。前半はビリー・ホリデイ集をリリースしたばかりのジャッキーをフィーチャー。後半にはラングレンが登場してキース・ジャレット「マイ・ソング」、スティング「フラジャイル」といった意外な選曲で自身の歌唱と共に楽しませてくれた。改めてBBBの実力の高さを認識。偶然、席が隣になったビデオアーツミュージック海老根氏とのビッグ・バンド談義も収穫であった。