Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
恵比寿から南青山へ
2008年10月15日
「Yebisu de Jazz」と題したイベントのため恵比寿に向かう。先月、東北のジャズ・スポット取材をご一緒した中平穂積さんの写真展と、記念のライヴである。初めて訪れた会場の「アート・カフェ・フレンズ」はビルの地下にある、約100名集客可能な新しいスペース。「ギター・デュオ・ウィズ・ベース」として小沼ようすけ+荻原亮+日野賢二が出演した。共演する機会が多いミュージシャン同士ゆえの、インティメイトな雰囲気を醸し出し、会場を占めた女性客はうっとり。「ソー・ホワット」「ドナ・リー」といったジャズ・ナンバーに加えて、パット・メセニーの初リーダー作収録曲「ブライト・サイズ・ライフ」が個人的な収穫となった。終演後、小沼君と談笑。
ファースト・セットを観た後、南青山へ移動。ジャズ・オーケストラ・オブ・ザ・コンセルトヘボウ@ブルーノート東京。96年に発足し、現在はオランダ屈指のビッグ・バンドに成長している若手ミュージシャンの集合体だ。今回は最新作のフィーチャリング・ギタリストでもあるジェシ・ヴァン・ルーラーとの共演ステージ。驚いたのは開演前、客席がいっぱいになり、通常は開放しない2階バルコニー席にも観客を入れたこと。BNTでは一夜限りの公演だったことも集客の背景にあると思うが、同時に近年のビッグ・バンド・ブームを反映したものだとも言えるだろう。選曲の中では「ホーリーランド」が印象的。10年前に作曲者のシダー・ウォルトンと共演したことがきっかけとのこと。ピアニスト=ピーター・ビーツの好演も光った。