Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
若手トランペッターを起用した巨匠のクラブ・ライヴ
2008年09月08日
マッコイ・タイナー+1@ブルーノート東京。同店ではトリオやビッグ・バンド(タップ・ダンサー=セイビアン・グローバーのパフォーマンスも素晴らしかった)でマッコイを観ているが、今回は若手のクリスチャン・スコットをフィーチャーした企画だ。マッコイのレコーディング・キャリアを振り返ると、このような形で若手を育てることを前面に出したことはほとんどなかっただけに、珍しさと共に会場へ足を運んだ。「ブルース・オン・ザ・コーナー」「モーメンツ・ノーティス」とお馴染みのレパートリーをプレイ。たびたびマッコイのもとに寄って指示を受けるスコットに、書生的なたたずまいも感じられて好ましく思った。ただしトランペッターとしてはまだ発展途上人である。
「フライ・ウイズ・ザ・ウインド」を含め、打点の高いマッコイのピアノ・プレイにはマンネリズムを超えた一芸確立者のオリジナリティを強く感じた。終演後、スコットに挨拶。ファッションにもこだわりがあるということで、若い音楽ファンをジャズに引き込む牽引役に期待したいものである。