Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
新規格CDの試聴会
2008年07月31日
昨秋登場したSHM?CD(スーパー・ハイ・マテリアル‐CD)は従来のCDに比べて顕著な音質改善がなされていることと、ジャズ、ロックの魅力的な名盤のラインアップによって、すでに大きな話題を提供している。同種の新素材CDであるHQCD(ハイ・クオリティCD)が9月からリリースされるにあたって、関係者向けの試聴会が代々木・メモリーテック・オーディオ・スタジオで開かれた。当日は盛況で、ぼくは急遽追加でセッティングされた19:00の会に出席。メモリーテックはHQCDを開発したメーカーで、ポニーキャニオン、M&I、EMIミュージックジャパンが参画する。SHMよりも後発になるのだが、HD DVD開発のノウハウを活用してCDの信号記録面に特殊合金反射膜を採用。さらに精度を改善したのが特徴となっている。
メーカー担当者の挨拶では、高音質と言うより、マスター原盤に近い音を再生することがポイントだと説明された。その後、同一作品の通常盤とHQを聴き比べる形でクラシック、ジャズ、ロックのソフトをプレイ。全体的に各楽器の輪郭が明瞭でクリアなサウンドを体感できた。中でもマルタ・アルゲリッチの「ショパン:ピアノ・コンチェルト」は、サウンドのリッチ感において最も顕著な効果が認められた。HQをパソコンに取り込んでiPodに同期した場合にも、通常盤を上回る音質が獲得できるという。今秋、音楽業界を賑わせること必至のニュー・メディアである。