Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
オーストラリア経由の女性ヴォーカリスト
2008年07月27日
アリソン・ウエディング@渋谷JZ Brat。先日観たベン・ウインケルマンと同じオーストラリアのレーベルJazzheadから最新作をリリースしているヴォーカリストだ。生まれと育ちはアメリカで、2001年にオーストラリアへ移住。現地でプロ・キャリアを積み、2004年にはBell Awardsのベスト・オーストラリアン・ジャズ・ヴォーカル賞を獲得。現在はニューヨークを拠点に活動中である。開演前に初対面の挨拶をする。初来日は10年前、ケヴィン・レトーのバック・ヴォーカルだったというのは、初耳の情報。今回は個人名義での初お目見えということになる。メルボルン在住のテナー・サックスとピアニストが伴奏者を務める編成は、ヴォーカリストにとって一般的とは言えないが、これがかえってウエディングの歌唱を際立たせる効果を生んだ。
序盤にはビートルズの「アンド・アイ・ラヴ・ヒム(ハー)」を織り交ぜるも、自作曲の割合が増えて、徐々にシンガー・ソングライターとしての音楽性が浮き彫りになる。聴き進めるうちに思ったのは、声質や歌い回しがジュリア・フォーダムを想起させるということ。本人が意識しているのかどうかはわからないが、これは新鮮な発見だった。終盤にはピアノ弾き語りも披露。清潔感のあるステージ・マナーにも好感を抱いた。デュオ・アルバムをリリースしているSam Keevers(p)とJamie Oehlers(ts)は共に確かな腕前の実力派と聴いた。