Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー

セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。

スーパースターズ・オブ・ジャズ・フュージョン

2008年07月09日

 自宅から至近の喫茶店でS社のM氏と打ち合わせ。ヨーロッパ・ジャズのコンピ盤の企画である。販売方法が従来にはなかったものなので、単に執筆を依頼されたこと以上の形で関われそうなのが面白く思う。これは派生効果もあると直感。楽しみながら仕事ができるだろう。
 南青山へ移動。今夜は「ブルーノート東京」でスーパースターズ・オブ・ジャズ・フュージョンを観る。一枚看板クラスのアーティスト5人が揃ったオールスターズだ。その中心人物であるロイ・エアーズは2006年10月、BNTに出演しているが、今回はメンバー的に前回よりもかなりパワー・アップした陣容であり、グループ名そのもののステージが期待できた。SOJFは数年前から活動を始め、ボビー・ハンフリーやジョン・ルシエンが在籍したこともある。
 まずはロニー・リストン・スミス(key)が2曲。得意のコズミック・サウンドで70年代的な世界へとタイム・スリップ。昨今若い音楽ファンから注目されているこのジャンルの元祖ということで、スミスの音楽家としての息の長さも実感した。続いて主役を演じたミキ・ハワード(vo)は近年リリースしたビリー・ホリデイ集にちなんで、「グッドモーニング・ハートエイク」を熱唱。元々はブラック・コンテンポラリー界で名を上げたシンガーが、持ち前の歌唱力によってジャズを歌っても聴く者を納得させる一面を披露した。トム・ブラウン(tp,flh)は懐かしい初期GRPでのデビュー作から「ザ・クローサー・アイ・ゲット・トゥ・ユー」をプレイ。他の楽曲を含めると全体的にはトランペットよりもフリューゲルで、持ち味が発揮されたように思う。司会進行役のエアーズが奏でる電気ヴィブラフォンは、他楽器の音色を発する点でヴァイブの域を超えており、もはやワン&オンリー。そして開演から1時間近く経った頃、ようやく姿を現したのがエイン・ヘンダーソン(tb)だった。
 ヘンダーソンが在籍し、クロスオーヴァー/フュージョン隆盛の立役者となったグループ=ザ・クルセイダーズの、70年代の代表曲「キープ・ザット・セイム・オールド・フィーリング」には、リアル・タイムで聴いていたファンとして感慨深いものがあった。それと同時に御年70歳を超えたヘンダーソンが、観客に歌唱指導をしながら30年以上前のレパートリーを生き生きと演奏する姿に、ベテラン・ミュージシャンのあるべき姿がオーヴァーラップしたのだった。

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