Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
フレッシュな女性ピアニストのリリース記念ライヴ
2008年07月17日
松本茜@赤坂Bフラット。ぼくは松本のデビュー作『フィニアスに恋して』のライナーノーツを書いており、春には私的なホーム・パーティーで話しをしている間柄だ。東京での記念ライヴを敢えてこの会場で行ったことに、ジャズ本道を歩もうとする関係者を含めた気概が感じられて嬉しい。ファースト・セットは松本が敬愛するフィニアス・ニューボーンJr.のレパートリーからの「シュガー・レイ」でスタート。スタンダードとジャズ・ナンバー主体のプログラムは、20歳とは思えない落ち着きを感じさせるものだった。特筆すべきは「ネヴァー・レット・ミー・ゴー」。このバラード・スタンダードを最後までテンションを失わずに、自分流儀で完奏したことは素直に拍手したいと思った。
セカンド・セットに進むとアルバム未収録曲も含めたオリジナル3曲も盛り込んで個性をアピール。アンコール曲「コンファメーション」まで、今どき珍しいビ・バップ・ピアニストの今後を温かく見守りたい気持ちになったステージであった。