Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
オーストラリアの陽気なジャズ・カルテット
2008年08月12日
まだレコード・デビューしていないオーストラリアのグループを、丸の内Cotton Clubで観る。99年にメルボルンで結成されたシャッフル・クラブだ。アルト・サックスをフィーチャーした4人編成。今回は「札幌シティ・ジャズ2008」に招聘された関係での、東京でのクラブ出演となった。彼らの音楽性はスイングを基盤にモダン・ジャズもしっかりと押さえ、エンタテインメントに溢れたもの。ジャズ初心者でも楽しめるという意味では、野外フェスティヴァルにうってつけのアクトだろう。どちらかと言うと高級店に属すCotton Clubで、初登場の彼らがどのように受け入れられるかに若干の不安はあったが、それは杞憂だった。ジャズ・ビギナーが多いと見受けられた客席は、オーヴァー・アクションも散見されたステージを十分に楽しんだ。このグループはそれぞれの主楽器が上手いばかりでなく、ヴォーカルも堪能なのが強み。アルト・サックス→ピアノ→ドラムスと主楽器を交代する場面に、メンバーの役者ぶりを味わった。日本では広く知られていない海外アーティストの来日公演が日常的に行われている。これは東京のアドヴァンテージではあるが、もっと有意義に活用するべきだと日々考えているのもまた現実である。