Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー

セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。

東京JAZZ最終日

2008年08月31日

 昼の部は「ブルーノート東京」とのコラボレート企画。1番手のロベン・フォードはB.B.キングに捧げた自作曲などをプレイ。2番手はサム&デイヴのサム・ムーア。近作や昨年のBNT公演が好評だったことを受けての登場となった、バンド+コーラス4人+4ホーンズを従えての歌唱は、昔の名前で出ているどころか、現役感たっぷりで、ベテランの底力を体感した。「ホールド・オン・アイム・カミング」「ソウル・マン」等を熱唱。3組目は多くの観客がお目当てだったスライ&ザ・ファミリー・ストーン。蓋を開けるまで誰もが半信半疑だったステージは、70分間の最初と最後をバンドだけが務め、メイン・パートを御大が演じる構成となった。中央に据えられたキーボードの前に座って歌い始めるが、声は弱々しい。椅子を回転させてバンドに指示しながら、徐々にエンジンがかかってきたのか、突然マイクを持って立ち上がりエネルギー全開に。ミュージシャンとしての本能がそうさせたのだろう。「ファミリー・アフェア」「スタンド」等の代表曲を披露。60~70年代に一世を風靡したバンドの初来日に、動くスライを観られたことで満足したファンが多かったようだ。
 「SUPER PLAYERS」と題された夜の部は、フュージョン・ファンには見逃せないプログラムとなった。当初発表のアーティストになかったジョージ・ベンソンの出演は、今回のラインアップをぐっと魅力的なものにした。「オン・ブロードウェイ」「ターン・ユア・ラヴ・アラウンド」「ギヴ・ミー・ザ・ナイト」等、学生時代にリアル・タイムで親しんだナンバーを次々と演奏してくれたのは嬉しく思った。続いて登場したのは新作『エナジー』を発表したばかりのフォープレイ。まさに大人のためのフュージョン・ユニットである。期待に違わぬパフォーマンスで魅了してくれた後、セット・チェンジもそこそこにそのままジャム・セッションへと移行。告知されていたデヴィッド・サンボーンとのジョイントは、「マプート」で幕を開けた。考えてみればこの曲はサンボーンとボブ・ジェームスのダブル・リーダー作『ダブル・ヴィジョン』のキラー・チューン。MCでジェームスが「デヴィッドとステージで演奏するのは世界初」と紹介したことで、俄然空気が変わった。ネイザン・イーストがマーカス・ミラー流のベース・プレイで好アシスト。2曲目も同作からの「ユー・ドント・ノウ・ミー」。サンボーンの泣き節がたまらない。すると昼の部に出演したサム・ムーアが登場。全員での「カム・オン・カム・オーヴァー」が始まる。ジャコ・パストリアスのファースト作収録曲。この粋な演出には参った。R&Bセットで生来の音楽性に火がつけられたサンボーンが燃えに燃える。イーストはジャコそっくりのベース・ラインで、ファーンのニーズに呼応。国際フォーラムでの本フェスティヴァル史上、最高のステージが繰り広げられたのだった。

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