Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
最注目ドラマーが自身のバンドで待望の来日
2008年09月05日
ブライアン・ブレイドはこれまでウエイン・ショーターや北川潔のグループで来日を重ね、そのたびに新世代実力派ドラマーであることを印象付けてきた。今回は10年前から活動を始め、先ごろ第3弾『シーズン・オブ・チェンジズ』をリリースした“フェロウシップ・バンド”を率いての初めての来日だ。とにかく引っ張りだこの人気ドラマーだけに、自己のバンド活動は本国でも断続的だった。この貴重なパフォーマンスを有楽町“Cotton Club”で観た。全員がステージに揃ったところで、ブレイドが挨拶。メンバー紹介を先に済ませてから演奏を始める。曲間のMCを含めて、結局最後までアナウンス無しで演奏に集中したのは、良い方法だと思った。
2サックス+リズムのクインテットによる演奏は、今のNYの空気をそのまま東京に運んでくれたかのような趣。マイロン・ウォルデン(sax)の実力者ぶりを確認できたのが収穫。ブレイドは要所要所で力強いビートを送り込んでバンドを鼓舞する。あんなにスリムな身体から、あれほどのパワーが発せられるのが驚き。手首の強さが人並み外れているのだろう。アンコールなしの1時間20分のステージに、すでに多くのフォロワーを生んでいるブレイドの高い音楽性を体感した。