Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
スウェーデンからやってきたピアニスト
2008年10月21日
スティーヴ・ドブロゴスは20代初めにアメリカからスウェーデンに移住し、悲劇的な最期を遂げた女性ヴォーカリスト=ラドカ・トネフとの共演作によって、その名を知らしめているピアニスト。今日はドブロゴスを招いたソロ・コンサートを午後2:00から松涛美術館B2ホールで観た。無料の招待客が集った平日日中のコンサートということもあって、客席は女性が中心。ドブロゴスのアルバム『エボニー・ムーン』を国内配給しているブルーグリームの神山氏から、ぼくの前列にいたシャンティを紹介された。2部構成のステージは「星影のステラ」「ブラックバード」「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」等、スタンダードやビートルズ・ナンバーを取り混ぜた選曲で楽しませてくれた。セッティングとマニアックな人選のギャップを踏まえれば、これを機会に新しいジャズ・ファンが増えることを願いたいばかりだ。
19:00からはJZ Bratに場所を移して、「モジョ・レコード1周年」を観る。才能ある邦人アーティストを紹介することで知名度を高めている新興レーベルのショーケース・ライヴ。トップ・バッターの敦賀明子トリオは、最新作『ニューヨーク・シティ・セレナーデ』収録曲を主体に、本場で揉まれてきたミュージシャンならではの実力を発揮した。第2部はボサノヴァのカレン(g,vo)。小野リサに続く人気アーティストに成長するかどうか、今後を見守っていきたい。トリを務めたのはファブリッツイォ・ボッソ参加の新作『ワン・ウエイ・トゥ・ローマ』をリリースしたばかりのトミー(tb)。音の大きさで存在感を発揮した点に、日本人ミュージシャンとしての頼もしさを感じさせてくれた。