Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー

セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。

ジャズ・ヴォーカルの女王のショーケース・コンサート

2009年04月07日

 青山一丁目に位置するカナダ大使館は、館内にコンサート・ホールを併設していて、過去にも様々なジャズ・イヴェントを行ってきた。近年、同国が生んだ偉大なピアニストにちなんで「オスカー・ピーターソン・シアター」と名づけられた同ホールで、ダイアナ・クラールのショーケース・コンサートが開催された。改めて説明するまでもなく、当代ジャズ・ヴォーカル界でダイアナは別格的な存在。そんなVIPを迎えるために、当夜は特別な趣向が用意された。タレント中山えみりの司会で始まったステージは、上原ひろみと小曽根真のソロ・ピアノがオープニング・アクト的な役割で観客を楽しませた。そしていよいよ登場したダイアナは、レギュラー・メンバーのアンソニー・ウイルソン(g)とのデュオで演奏。エルヴィス・コステロと結婚し、双子の子供を出産した経験が人間的にダイアナを一回り大きくさせたように感じた。それは曲間のMCに顕著で、かつて日本でのコンサートではこれほど饒舌で感情を素のままに表現するシーンはなかった。何故こう言えるかというと、2003年にノルウェーでダイアナの公演を観た時に、あまりにフランクなMCに驚いた経験があるからだ。さらにステージの終盤ではサプライズが発生。今夜出演した4人全員の共演による「イフ・アイ・ハッド・ユー」が披露されたのだ。ダイアナ、小曽根、上原の3人はボストンのバークリー音楽大学の同窓生という共通点がある。予定時刻を大幅に超過したライヴは、満足度が高かった。客席には高円宮妃、渡辺貞夫、時任三郎ら著名人が招待されていて、ダイアナのVIP度を高めていた。ダイアナの本公演への期待が膨らんだ、カナダ大使館のヒット・イヴェント。

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