Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
東京での初企画クラブ・ライヴ
2009年03月30日
大阪を拠点に活躍する清水ひろみは、ライヴ・ハウスを経営し、後進の指導にもあたっており、関西で一国一城を築いて久しいヴォーカリストだ。今夜は代々木NARUへの2度目の出演。ピアノ井上ゆかり、ヴァイオリン里見紀子との共演である。この2人は共演機会が多いが、清水とは今夜が初めて。以前、あるライヴのバックステージで挨拶したことが、今夜の共演に繋がったという。例えばトリオがバックの場合、3人のうちの2人が慣れた共演関係であれば、安定したサウンドが保証されるという定説にしたがえば、当夜の井上&里見は清水にとって、これ以上なく頼りがいのある共演者ということになろう。前回観た時の清水は怪我をして腕を吊っていたが、すっかり健康を取り戻した様子。でもこの初共演と、ジャズ関係者を含む多数の観客を前にして、やや緊張したような印象のステージだった。インスト・パートでは、井上と里見とのやりとりが聴きもの。今後の予定はわからないが、回を重ねるにしたがって、このトリオならではの表現性が深みを増していくと思った。