Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
新人女性ピアニストのインストア・ライヴ
2009年01月17日
このところ関西から才能豊かなミュージシャンが登場していて、目が離せない状況が続いている。昨年12月にデビュー作『ローズバッド』をリリースしたばかりのピアニスト妹尾美里も、そんな1人だ。ぼくは同作のライナーノーツを執筆したこともあって、東京在住者としては、いち早く彼女の存在を知ることができた。今日はリリース記念のインストア・ライヴ@タワーレコード渋谷店ジャズ・フロアー。会場には100人近くの観客が集い、妹尾トリオのパフォーマンスが行われた。デビュー作収録曲ばかりでなく、その後に書いた新曲も披露してくれたのが収穫。本人にとっては手ごたえが予想できない状態での東京での演奏に、多くの人々が集まったことが最大の収穫だったに違いない。CD購入者限定ではなく、そこに来れば誰でも観ることができるというイヴェントは、40分間のラストまでほとんど全員の観客が聴き入り、妹尾の演奏に魅了されていたようだ。拙稿で「妹尾美里のピアノを初めて聴いた時に感じたのは、どのようなテンポや楽想のナンバーであっても、それらには一貫して“優美さ”が溢れていることだった」と記したことを、生演奏でも証明してくれたのが嬉しい。レコーディング・メンバーとは異なる田嶋真佐雄(b)+海老澤幸二(ds)との新トリオの、今後の成長にも期待が寄せられる。次の目標は東京での正式なデビュー・コンサートだ。