Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー

セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。

大物ギタリストの越年ライヴ

2009年01月05日

 昨年20周年を迎えた「ブルーノート東京」は、これまでに数々のミュージシャンが出演し、大晦日のカウントダウン・ライヴが年末の人気定番企画となっている。今回は史上初めて、年末と年始がまたがる形でアーティストがブッキングされた。スケジュールが合い、偶然のタイミングで実現したのがパット・メセニー・グループである。PMGはコア・メンバー4人にトランペット、ヴォイス、パーカッション奏者が加わった形態を指すのが一般的だが、今回はカルテットでの来日。カルテットと言えば96年発表作をファンならすぐに想起するわけだが、同作と比べるとドラムスが現在のPMGメンバーであるアントニオ・サンチェスに交代した顔ぶれということになる。昨年は2003年のBNT収録ライヴ作『トウキョウ・デイ・トリップ』がリリースされており、このヴェニューとメセニーの親和性がファンの間に浸透した状況でのステージとなった。
 会場は補助椅子席を出し、2Fバルコニー席にも客入れした超満員。期待が高まる中、メンバーが登場し、始まった1曲目は「ハヴ・ユー・ハード」だった。『ウィ・リヴ・ヒア・ライヴ』と同じオープニング・ナンバーは、これまでのパットのグレーテスト・ヒッツ的な選曲で楽しませてくれることを予感させるに十分なものだった。今回、リハーサルで40曲を確認したとのことで、セットごとにプログラムは異なっていたという。どうやら今回の連続公演で最多の選曲になりそうな「ディス・イズ・ノット・アメリカ」や「トゥ・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド」など、この至近距離で観ることができる興奮と幸せをかみ締めた。もう30年間もパットの音楽に魅了され続けてきた自分史が演奏に重なり、感慨もひとしお。メセニー・メルドーのリリース時に雑誌取材でインタビューもしているが、それでもいまだに一ファンの気持ちが変わらない。曲始めにギター・ソロをピックで弾いたところ、しっくり来ないと中断して指弾きにチェンジした場面は、クラブ・ライヴだからこそだろう。アンコールに応えたナンバーは「トラヴェルズ」。大満足の80分であった。

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