Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー

セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。

日米を股にかけるピアニストのクラブ・ライヴ

2008年12月06日

 今年リリースした『ブーラヴォーグ』が好調な山中千尋が、出演歴のある神田「TUC」に帰ってきた。このところ2つの雑誌インタビューで山中とじっくり話す機会が続き、その時に現在のジャズ・シーンに対して的確な情報収集と分析をしていること知って、好印象を抱いていたのだ。場内は熱心な男性客が多数占め、山中人気を証明。満員の観客の前に登場した山中は、いい意味でのマイ・ペースで演奏を進める。演奏曲目を事前に決めていなかったらしく、その場で決めた曲の楽譜をヴィセンテ・アーチャー(b)+ジーン・ジャクソン(ds)に確認するやり取りが笑いを誘った。2005年にメジャー移籍してからすでに3年が経っており、自虐的で予想できないMCにも免疫があるファンが多いと見受けた。選曲ではアルバム未収録のものを演奏してくれたことが特筆もの。「クライ・ミー・ア・リヴァー」は何故こんな古い唄ものを、と思ったが、ブラッド・メルドーのレコーディング曲だとわかって、メルドー・ファンの山中らしい選曲だと合点がいった。さらなるサプライズは「あこがれのハワイ航路」。選曲動機を明かさなかったが、歌謡曲好きの山中ならこれもありか。アレンジが山中のキラー・チューンである「八木節」を想起させるものだったことは、指摘しておきたい。本編が終わってアンコールに登場した山中は、結局「八木節」を演奏した。その前のMCで「もう聴き飽きたでしょ?」と言っていたのに。水を得た魚のような演奏に、やはり山中の代表曲だと再認識したファンは多かっただろう。

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