Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー

セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。

70年代の人気ソウル・グループが再結成

2008年11月12日

 ルーファスが帰ってきた。チャカ・カーンがリード・ヴォーカリストを務め、一時代を築いたソウル・グループが、83年の解散から25年を経て再結成したのである。今夜は「ブルーノート東京」で記念すべきステージを観た。オリジナル・メンバーのトニー・メイデン(g)とケヴィン・マーフィー(key)を中心に、若手フュージョン・キーボーディストのブライアン・カルバートソンと、インコグニート卒業後はソロ・アクトとして活躍するメイザ・リーク(vo)が参加。アメリカのリユニオン・グループにはもはやオリジナル・メンバーが存在しない“営業バンド”もいるが、今回のルーファスに関してはプラス・アルファが期待できた。ステージに登場したのは2ギター+3キーボード+ベース+ドラムス+パーカッション+3コーラスの総勢11名。ソウル・グループならではの大所帯だ。本格的に再始動したバンドの意気が、ヒット曲と共に伝わってくる。メイデンがピック無しで鋭いギター・カッティングを聴かせれば、新作『ブリンギング・バック・ザ・ファンク』をリリースしたばかりのカルバートソンは、キーボードに加えてトロンボーンでもエンタテインメント性を発揮。70年代生まれのカルバートソンが当時活躍した面々と今同じグループで演奏していることに、このジャンルの好ましい歴史の循環を感じた。プログラムの途中にもう1人の女性ヴォーカリストが登場したのだが、その彼女アマンダ・メイデンはトニーの娘だった。まだ無名の若手だが、力強い歌唱はスター性十分だ。客席では特に女性が楽しんでいる姿が印象的な1時間半のパフォーマンスであった。

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