Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
ビル・エヴァンスからバカラックまで
2009年11月17日
イタリア生まれのドラマー、アンドレア・マルチェリがトリオを率いて来日。新作『サンダンス』のリリース記念公演を、九段・イタリア文化会館で観た。4枚目となる新作で、マルチェリは初めてトリオに取り組んで新境地を開いており、日本での認知度も高まっている。この会場らしく、ジャズ・プロパーではなさそうな人々が多数集っているのは、新しいジャズ・ファンを増やす絶好の機会だと思いながら、ステージを迎えた。ファースト・セットは新作からのレパートリーが中心。セカンド・セットに進むと、マルチェリの親友という尺八奏者が登場し、「見上げてごらん夜の星を」を演奏。意外な一面を聴かせた。もう1つの見所だったピアノのトーマス・クラウセンは、「いつか王子様が」で今夜最高のプレイを披露。ラストに「ジャスト・イン・タイム」、アンコールで「サマータイム」とスタンダード2連発でフィニッシュした。終演後ロビーでクラウセンと談笑し、若々しいキャラクターに接したのも収穫であった。