Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
立場の異なる邦人女性との連続邂逅
2008年11月03日
アキコ・グレース取材@全日空ホテル。コロムビアのパンフレットのためのインタビュー記事である。新作『Pianorium』の制作エピソードを聞いた。インターネットのHPから毎月、新曲を配信して、1年でフル・アルバム分の楽曲が公表されるスタイルは、日本では前例がなかった。季節の移り変わりなどを作曲書法に反映させたグレースの斬新な試みは、それらの楽曲が今回パッケージ・ソフトとしてリリースされることによって、大きな注目を集めると思う。自分の音楽を理路整然と語ることができるグレースには、いつも好印象を抱く。
下北沢へ移動。「レディジェーン」で仲野麻紀を観る。仲野さんはMySpaceを通じて知り合いになったフランス在住の女性サックス奏者。このコミュニティーを始めて以来、海外で頑張っている邦人ミュージシャンを知ることとなっている。「Ky Japan Tour2008 エリック・サティのゆがんだ踊り」と題した2ヶ月超の全国ツアーの終盤を訪れた。ヤン・ピタール(g)とのデュオは、気心が知れたパートナーとの交流の趣。当夜はベーシスト=ナスノミツルが参加して、通例のKyとは違うステージを現出した。即興演奏家としての仲野麻紀のスキルを体感。日本ではなかなかポピュラリティを得ずらいこのジャンルのミュージシャンを、何とか良い形で応援したいと思った。