Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
イタリアの人気バンド、待望の単独公演
2009年11月18日
2002年結成のハイ・ファイヴ・クインテットはデビュー作が国内盤でもリリースされ、ハード・バップをベースにした音楽性によって注目を集めていた。昨年12月には男性ヴォーカリスト、マリオ・ビオンディと共に「ブルーノート東京」に出演。アルバムを通じて知っていた実力に違わぬパフォーマンスを披露してくれた。今宵は名門レ?ベル、ブルーノート移籍第1弾『ファイヴ・フォー・ファン』をリリースしたばかりの、タイムリーな単独公演である。BNTのステージにメンバーが登場すると、挨拶代わりにマッコイ・タイナー曲「パッション・ダンス」をプレイ。アルバム未収録のナンバーはブルーノートつながりということで、まずはハイ・ファイヴの心意気を示す格好となった。バンドの顔と言うべきファブリッツィオ・ボッソ(tp,flh)は、サーキュラーブリージングも駆使してバンド・サウンドを牽引する。ボサ、R&Bテイストのオリジナル曲を取り混ぜたプログラムは、新作のタイトル・ナンバーでフィニッシュ。リー・モーガンやハンク・モブレイの60年代ものを想起させる曲調に、モダン・ジャズ黄金時代への憧憬が重なり、彼らの主張を聴いた。アンコールに応えて演奏した新作からの「インセプション」は再びのマッコイ・タイナー曲。来年2月発売ライヴ作のための映像収録も行われたせいか、昨年のBNT公演に比べてやや硬さも認められ、終演後は大仕事を終えたメンバーの安堵感が漂っていた。