Jazz Diary 杉田宏樹のジャズダイアリー
セブンオークスとコラボレートしている音楽評論家の杉田宏樹さんによる「ライブ・ダイアリー」です。
人気急上昇中のビッグ・バンドが再来日
2008年11月05日
ゴードン・グッドウィン率いるビッグ・ファット・バンドの存在が気になったきっかけは、2006年リリース作『The Phat Pack』だった。デヴィッド・サンボーンのゲスト参加もポイントが高く、アメリカのビッグ・バンド界で売れっ子というのも納得の実力を知ったのである。今年の1月末にはパティ・オースティンとの共演で「ブルーノート東京」に出演。ガーシュイン集が好評のパティとのステージは、大いに盛り上がったという。そんなBPBが1年もたたないうちに、BNTに再登場。これは異例のタイミングだ。ここのところBB人気が日本で高まっていることを示す好例と言えるだろう。BPBが正統派BBの流れを汲みながら、エンタテインメント性も十分に発揮するタイプであることは、演奏が始まってほどなくわかった。グッドウィンは日本語MCでとぼけた味を出し、観客に笑いを提供する。トランペット・セクションをフィーチャーする、とのアナウンスで始まった曲では、しかし後半にサックス・セクションをフィーチャーし、エンディング直後のソリスト紹介もサックス奏者から。これにムクれたトランペッターたちが退場すると、ようやくグッドウィンが彼らの名前を呼び上げ、丸く収まった。まあお約束の演出なのかもしれないが、こういうのも客席が和んで面白い。またドラムスとパーカッションの掛け合いでは、ドラム・ソロでビートルズの「アビー・ロード・メドレー」を引用。観客を楽しませるBPBのステージングに、プロフェッショナル魂を見たのだった。